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「‥」
「‥‥永久?」
「‥」
「‥‥」
腕の中にすっぽり収まっている永久のゆったりした息遣いが寝息なのだと気付くのに時間は掛からなかった。
ただでさえ慣れないような事をしないといけない日だった上に、あんなにボロボロと涙を流して‥俺に気持ちも伝えてくれたのだから疲れていて当たり前だ。
寝てしまった為に増した腕の中の重さは、俺の幸せの重みだと思った。
ぎゅっと抱き締め額に唇を寄せる。
「おやすみ、永久」
「‥」
そっとベッドに寝かせ布団を掛けてサラサラと流れる髪を撫でる。
まだ幼さの残る寝顔は無防備で愛おしい。
「はあ‥」
永久の告白には正直驚いた。そうなればいいと‥ずっと願ってきた事が易々と叶ってしまった。
言い方が悪い‥最低でも、永久が卒業するまではこのままだろうと腹を括っていたから。
それまでは‥お互いがお互いをゆっくり知っていけばいいと、そう思った。
相手にするのは人の心だ。どうなるかなんて分からなかった。ただ知れば知る程‥俺は永久への欲望を深めるばかりで。
パタンと。
寝室のドアを閉めてキッチンへ向かう。冷蔵庫から冷えた缶ビールを取り出し喉を潤わせた。
「ふー‥‥」
平然を装って息を吐いとかなきゃ嬉しさを隠せる自信がない
涙が出たのも予想外過ぎて恥ずかしい
冷えたビールでも飲んで気持ちの鎮静化をしないとやってられない状態だ
大の大人が‥高校生1人にこんなにも本気になって、彼がこちらを向くように片っ端から何でもしたなんて‥笑ってしまう。
彼を好きになったのは‥同情でも何でもなかった
最初に心を奪われたのは書類に書かれた中村永久という名前だった。初めて出席を取った時に呼んだ永久の響きが‥彼の視線が‥俺の中に一つの波紋を生み、彼の両親が亡くなった時確実に彼を見る目が変わった。
揺るがない姿勢の奥に秘めた流せない涙の影を見つけてしまったから。
衝動的ではあったけど、本当に俺の腕の中で泣けばいいと‥そう思ったし、唇を噛む彼を心から抱き締めたいと願った。
その気持ちを抑えられないとすぐに分かったし、何としてでも手に入れたいと思った。
一瞬で膨れ上がった欲望はただただ真っ直ぐ‥彼に手を伸ばした。
距離を開けないように、近すぎないように‥その手は確実に、彼に触れ彼を求めた。
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