アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
待ち合わせ
-
露朱と二人で出かける日。
気持ちのいい青空が広がり、天気に恵まれたことに筑紫はほっとした。
陽の光は暖かいが、秋も終わりに差しかかり、時折吹く風は日々冷たさを増していた。
北国であるセーデルハムンの冬の寒さは毎年厳しいものであった。
筑紫は、今年もそろそろ冬支度を始めねばならないなと思いながら、想い人の待つ場所へと足取り軽く向かっていた。
待ち合わせ場所である城下町の時計台に着くと、そこには露朱がすでに待っていた。
約束の時間よりも早く到着するよう向かったのだが、それよりも早くやってきていたらしい。
露朱の姿を発見してそれだけで嬉しくなってしまい、筑紫は嬉々として声をかけようとした。
だがよく見ると、露朱の表情が暗い。
うつむいて地面をじっと見つめながら、体をこわばらせて立っている。
すぐ側にいる筑紫にも気づいていない。
「露朱」
筑紫は露朱を驚かさないように、そっと声をかけた。
露朱がゆっくりと顔を上げる。
その顔は憔悴しきっていたが、筑紫の姿を見とめるとほっとしたように表情を和らげた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 31