アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
target4-17.気になる存在
-
生徒会室のドアが荒々しく開く。
入ってきた人物に庶務をする昶と京弥の手が止まり、不思議に思いながらも目で追う。
そんな面々を置き去りに、庶務を続けている璃空の机をバン、と思い切り叩いた。
「どういうつもりや!」
「…何がだ」
眼鏡を掛けている璃空は、我聞せずといった様子で書類に目を滑らせる。
「五十嵐颯都には手ェ出すな言うたやろ!」
名前の人物に反応し、璃空は漸く顔を上げる。
憤りのまま睨み付ける桃色の瞳とかち合って、漆黒が勝ち気に笑う。
「情報が遅かったな。颯都はもう俺のモノだ」
「はぁ!!!??」
聞き捨てならないと一人の影が立ち上がる。
「違うね、会長。颯都はオレのだから」
「何やて!?…どういうことや、それ…」
瞬間的に昶の方を振り向き、困惑を全面に見せる咲良。
しかしいつもの颯都を賭けた言い争いが始まり、咲良の疑問は放置された。
見兼ねた京弥が助け舟を出す。
「本人に聞いてはどうですか?」
「…それは……遠慮しとくわ。オレには、関係あらへんし。
…邪魔したな」
取り繕うように笑って出て行こうとする背中に、京弥がもう一度声を投げかける。
「関係ない他人が、わざわざ恋路を気にするとは思えませんけど」
一瞬歩みが止まるも、咲良は何も言わずに出て行った。
背中でドアを閉めて俯く。
「…そんなん……オレが一番分かっとるわ」
忘れようとしても、名前聞くたび考えてしまう。
気がつけば、いつも考えているのはあいつのことで。
そして、生徒会や白瀬雪斗、学園で人気のある存在と一緒にいる姿をよく見かける。
「(噂がもしホントやったら、会長ともう…)……あ゙ー!!もう!!!なんでこないに悩まなアカンねん!!」
余計に考えそうになって、大声で叫び髪を両手で掻き乱し、交錯する感情を振り払うように廊下を歩き出した。
―――――――…
―――
―――――……
[雪斗side...]
風紀委員会の巡回当番で、校内を巡回している時だった。
「―――、…!」
何か聞こえる…人の声?
特別教室の階は、普段全くと言っていい程人気がない。
気になって、声のする方へ近付いていく。
ドアの向こうから複数の気配と声がする。
「やべーよ!スクープスクープ!」
「おい、これどうすんだよ?」
「現像して、新聞部か写真部に売りつけるか!?高く売れるぜ!」
どうやら、何かの算段を練っているらしい。
こんな場所でわざわざ話している辺り、聞かれるとマズい話なんだろう。
副委員長として、ますます見逃せない。
「いや……。もっとイイ方法があるぜ」
野望を秘めた男の声に、周りも興奮する。
何だ?一体何を企んで……
「これを餌に委員長様を脅して、身体を頂くのさ」
「うはっ、それ最高ー!」
それを聞き終わらないうちに、俺の身体は勝手にドアを開け放っていた。
「ねぇ。どういうこと?」
男達は立ち聞きされていた事に驚いて一瞬慌てるが、俺だと分かると高を括って笑う。
「悪ィなぁ。あんたんとこの委員長さん、味見させてもらうわ」
「オレ、一度でいいから喰ってみたかったんだよなぁ~!ラッキー!」
下劣な会話でハシャぐのを見るだけで気分が悪かったが、その内容に更に眉を顰める。
手短な所で笑っている男を捕まえて羽交い締めにする。
「どういうことか、って聞いてるんだけど」
「おうおう、脅しですかー?」
「無駄だぜ。オレ達には最強の武器が…」
分かんないんだろうなぁ。
そうやって携帯をちらつかせてたら、武器じゃなく弱点になるって。
素早く距離を詰め、蹴り上げて宙を舞った携帯をキャッチする。
「隙だらけですよ」
「あっ…テメー!!」
吠える男達を次々と沈めながら、画面を確認する。
画面には、衝撃的な写真が写っていた。
颯都と…西園寺先生?
それも、ただの写真ではなく、颯都の服ははだけて行為中である事が容易に判るものだった。
「これ、いつどこで撮ったんです?」
「昨日…放課後用具準備室の前を通ったら、声が聞こえて……あんな所でヤってたら気になんだろ」
襟元を締め上げて問い詰めると、適わないと悟った男が渋々白状した。
「だからと言って、脅しに使う行為を見逃す訳にはいきません。
貴方方には後程処分を下します。それまでは寮で謹慎処分です」
男は携帯を返して欲しそうにしていたが、取り上げたままその場を立ち去った。
複雑な心境に突き動かされ、颯都がいる風紀委員室へ向かう。
(どういうことなのか、本人に聞かないと)
(俺が納得できない)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
52 / 108