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target5-1.青春の幕開け
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―――体育祭前日。
「あ~!めんど~い…だる~い…」
放課後、生徒会並びに風紀委員会などの委員会は、体育祭の準備に駆り出されていた。
開口一番、昶がやる気のない声を出す。
「今日はサボリ禁止ですからね、昶くん?」
「いいじゃん~。こんなに人数いるんだからさぁ。一人欠けた所で、誰も困りはしないよ」
「真面目に仕事してください」
「ちぇ~。……鬼畜メガネ」
「何か言いましたか?」
「なにも~?」
いつもの如く言い合いながら生徒会が賑やかに準備を進めている一方。
「………」
黙々と準備を進め、協力する時言葉を交わす程度の風紀委員二人組。
不思議に思った琉生は声を掛ける。
「どうした、ヤケに静かだなー」
「えっ?あぁ…仕事中はあまり話さないんですよ、僕ら」
「へぇー、そうなのか」
にこやかに話す雪斗にそれ以上突っ込む話はせず、琉生は金色の眼で二人の作業を見守っていた。
体育祭準備は滞りなく進み、夕方には全ての作業が終了した。
「お疲れ~。今日はもう帰っていいぞ~」
琉生が解散を言い渡し、それぞれ散り散りになっていく。
「五十嵐」
そんな中、琉生の声が颯都を呼び止め、手招きされて近付く。
「お前、白瀬と喧嘩でもしたか?」
この教師は、妙な感が鋭い。
「…別に」
彼奴が対等の立場になる事を望んだ。
同じ時間を過ごしていても、感情や思考では真逆な位の相違があった。
只、其れだけの事。
「お前ら昨日とは様子が違うからさ」
「…同じだろ」
これ以上首を突っ込まれないようにと一言で切り替えす。
「朝からあまり話してないのか?」
「話はしてる」
「前と比べてどうだ?」
「…前よりは減ったけど」
「気まずいのか?」
「そういう訳じゃ…毎日話してるから特別話す事も無いだけで…」
さり気ないトーンで聞いてくる琉生に釣られ、答えている内に自然な言葉が漏れた。
ふと琉生と目が合ってから、明らかにしてしまった事に気付いた。
「ん。特に問題は無さそうだな」
ニッと笑うの琉生とは逆に、颯都は表情を引き吊らせた。
「何で聞いて来るんだよ。関係無いだろ」
「ん~?一応、教師だしな」
「教師だからと言って干渉が許されるんですか」
「親と同じでな。時には、ウザいと思われようが立ち入った事を聞いたりもする」
それを聞いた颯都の脳裏には何故か、情けない顔をした和泉が現れ、颯都は直ぐさま思考に蓋をした。
「…帰る」
校舎に向かい歩き出す颯都を追いながら声を掛ける。
「お?拗ねたか?」
「着いて来んな」
「偶には素直になれよ~五十嵐~」
後ろから抱き込むようにして琉生は髪をクシャクシャ撫ぜる。
「っ、…止め…!」
ペースと髪を好きなだけ乱され、終始顰めっ面で抵抗する颯都と、
変わらぬ子供のような笑顔でふざけ半分に反応を楽しんでいる琉生。
校庭を駆け回る(颯都は避け回る)二人を、月杜学園の屋上から一つの影が見下ろしていた。
「五十嵐、颯都……」
(まだ間もない)(青春の幕開け)
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