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target6-8.生徒会ライブ
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颯都と生徒会メンバーは、出店を回り好き好きなものを手に持ち食べていた。
颯都はアイスを食べていたのだが…双子が腕に絡まりくっついている所為で非常に歩きにくく、しかも猛暑がさらに暑苦しく感じさせた。
「引っ付くなって、暑ィ」
「え~、ヤダぁ~」
「そうだよー、颯都はオレのなんだから」
「馬鹿か。颯都は俺のだ」
いつものしょうもないやり取りが始まれば、颯都は持ったアイスを舐めながら素早く二人から離れた。
「「ねーねー、颯都(兄)お兄ちゃん!一口ちょうだい!」」
ぴったりと一致している二人の声に颯都は笑みを溢してアイスを差し出す。
「あぁ」
「じゃあ僕が最初ね!」
「えー、僕だよ!」
睨み合った末、二人は両側から食べて満足の表情を浮かべていた。
それを見た昶が叫ぶ。
「あぁ゙ー!!そこはオレがもらう予定だったのに~!」
「馬鹿か。颯都のモノはオレのモノだ」
「…会長はいつもおいしいとこ持っていくけど、今度こそ渡さないよ?」
「望むところだ」
颯都のアイスから始まり、いつの間にか火花が散りバトルモードに入っていた。
(それは後におでんを食べながら傍観していた京弥が、食べ終わってから仲裁に入るまで続いた)
そんな一方、颯都は。
「そうじゃないよ~、颯都お兄ちゃん!」
「もっと舌を使って、垂れたとこから舐め上げないと!」
双子に舐め方を力説され伝授されていた。
チラリとそちらを見て、異様に目が輝いているとは思ったが真夏の陽光を受けるアイスは待ってくれない。
溶け出す滴を追うように、目を伏せて懸命に舌で舐める。
「…ん…、」
持ち手と角度を変え、赤い舌がバニラアイスを白い液体を舐め取るのを二人は食い入るように見詰めていた。
「「(…颯都兄(お兄ちゃん)、エロい…!)」」
双子は目の前の光景に赤いものが伝う鼻の下を覆い、無言で親指を立てたのだった…。
―――――――…
―――
―――――……
暗くなったホールは熱気と興奮に包まれていた。
それは……。
「…今日は一日限りの生徒会スペシャルライブだ、楽しんでいけ。ただし…最後まで倒れるなよ」
ライトが暗いステージで璃空がマイクを引き寄せて囁くと、一気に歓声やら悲鳴が膨れ上がった。
前へ前へ詰め寄せる動きの中で、颯都は一番後ろの壁に寄り掛かり、遠巻きにその様子を眺めていた。
「俺を見ていろ」
先程そんな事を言っていた彼奴が、何故俺を呼んだのか。
今一分かり兼ねていた。
熱を上げない俺より、熱を上げてる奴を対象にした方が良いんじゃないか?
頭でそんなどうでもいい事を考えながら、バンドのメンバー紹介を見ていた。
ボーカル兼ギターは璃空。
ベースは昶。
意外だったのは、ドラムが京弥だった事だ。
全員が璃空が着ているのと同じ格好付けた衣装を着て、髪をワックスで後ろに流している。
そして演奏が始まり、色とりどりの照明が熱気を煽った。
璃空が歌い出すと、観客は跳ねたり、手やうちわで乗っている。
溢れる音と光。
五感を刺激し、身体の芯に響いてくるそれぞれの音と、英語詞を歌う璃空の声。
最初は眺めていただけだった颯都も段々と、無意識に身体でリズムを刻んでいた。
確かに彼奴には、人を魅了し熱狂させる力がある。
だけど、魅了した後の責任は取らない。
此奴はそんな奴だ。
曲が終わり、歓声と拍手が巻き起こる場でどこか冷静に思っていた時。
突如としてマイクが飛んで来て、颯都は驚異的な反射神経でそれを掴む。
ステージ上で笑みを浮かべ、見詰めている璃空に視線を向け睨み付けて叫んだ。
(…危ねーだろッ!)
(ステージに上がれ)
(………は!?)
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