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迎えにいくよ
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家の前に待機していたピカピカの車
その窓が開いた
「添那汰!久しぶり、元気にしてた?」
「真琴さん!」
てっきり、家の方に戻っているのだと思っていたからびっくりした
でも、真琴さんが来てくれるなんて嬉しい
「添那汰様、鞄。自分で持たれて行きますか?」
「うん、お気に入りしか入ってないし自分で持ってる。あっ!この書類だけ渡しておくね。出来るだけ早く市役所に出してくれると嬉しい」
「かしこまりました。直ちに手続きを致します。」
「添那汰、おいで。とりあえず帰ろう?」
「うん」
ガチャ
真琴さんがドアを開けてくれる
そこに導かれるように近づく
「兄さんっ!!どこに行くの?!!やっと帰ってきたのに!」
後ろから、叫びのような声で引き留られる
冷静に答えなきゃ…これで終わりなんだから
「もう兄さんでもないんだから、ここが帰ってくる場所でもないんだよ。急にこんなことになったから混乱してるだけだよ。すぐに普通の生活にもどるよ。僕がいなかった生活にね」
そう、今までだって僕はいなかったんだから
変わらない生活がまた、始まるだけ
そうでしょう?
真琴さんが心配したような顔で手を差し伸べてくれる
大丈夫という意味を込めて少し微笑む
真琴さんの手を握って車に乗り込む
「添那汰兄さん!!絶対迎えにいくから!!」
そんな宣言を弟にされたのが中二のころ
それが、どんな意味を持つのか
深く考えることはなかった
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