アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
男前めでたい祭りでワッショイ【書いてみました】「船山昇のレシピ」のキャラがSABUROにご来店
それでここにいる
-
「コーヒーのお代わりはいかがですか?」
長身の眼鏡男子に誘われて、空いたカップを差し出す。いつの間にか、ランチ最後の一客になっていた。そろそろ失礼しないといけないな…。ところが、眼鏡男子さんは、当たり前のように僕の隣のテーブルの椅子に腰かけた。
「西山さんがガッカリしていましたよ、ご自身のイケメンブログに出せないって。仙道さん、SABUROのスタッフに間違われたそうで…。西山さんはそそっかしい。」
いや、お恥ずかしい。ここのスタッフの皆さんは、こんなにお仕事が楽しそうで僕とは大違いなのに…。
この眼鏡男子さん、店内に放送予定が貼ってあるテレビ番組「シネマレストラン」のトアさんだ。
「トアさんは、お店の看板を背負ってテレビ番組に出演しているのですね。凄いな。」
昨日から会話らしい会話をしていなかった反動か、同年代の甘えか、無性に会話が恋しくなって、自分の事を話してもいいかなと思いはじめた。
「僕も最近マスコミの対応を任されたり、企業紹介のミニ番組でインタビューに応えたり、人前に立つことが多いのです。…ただのSEですよ?僕が会社の看板役の広報なんて。上司に聞いても『適材適所だよ』って言うけれど、適材とは思えないのです。」
「仙道さんはハンサムだから、適役だと思われたのではないでしょうか。」
「え?普通の顔ですよ?」
「いやいや、モデルさんかと思います。」
「いやいやいやとんでもない」
「話し方も聞き取りやすいですし、メディア向きに見えますよ。僕のは広報というよりただの映画好きですから。料理の事なんて詳しく語れませんし、趣味の話をしているだけなんです。」
「それでも、トアさんはこのSABUROの事、好きでしょう?それが一番大事なのです。僕は、自分の会社が好きではありません。…いろいろ判ってしまって、好きになれなくなりました。」
それでも仕事だから続けている。無理が重なる。だから一杯いっぱいになってしまって、今ここにいる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 5