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野良猫7
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「ようこそ少年、歓迎いたします」
春臣が颯爽と車から降りると、後部座席の扉を自ら開けた。少年は恐る恐ると車から降り、地下車庫に下駄の音を響かせた。辺りをぐるりと見渡し、そこがとても広い地下空間なのだと理解した。
シンジも車から降り、止血をしただけの腕を抑えながら少年に笑いかけた。
「一応包帯で止血はしましたが…薬も何も投与していないので、あまり動かれないで下さいね」
「わかったって、ありがとなこんな明け方に迎えに来てもらっちゃって」
「仕事ですから」
黒服の鋭い目付きをした男の人が一礼をして車の方へ戻っていった。少年とも目を合わせ、もう一度少年にだけ分かるように会釈をする。
「そういえば自己紹介がまだだったな、俺はシンジってんだ、まぁ何でも好きなように呼んでくれよ。あの黒い服の人は佐原さん、すげぇ荒い運転するけど、すげぇ早く目的地につくしとにかくすげぇドライバーさん。好きなのは肉と寝ることで嫌いなのは……ねぇなぁ…多分…」
「佐原さんの説明がバカ丸出しだねシン……俺は春臣だよ、そのままだとなんかごついから、春さんとか春ちゃんって呼んでよ。好きなのはかわいい女の子と綺麗なお姉さん。嫌いなのは可愛くない女の子と綺麗じゃないお姉さん。よろしくね」
「…よろしく……」
俯いてそっぽを向く少年に、シンジはのぞき込んで眉を八の字にした。
「名乗られたんだから名乗るのが礼儀ってもんだ、いつまでもお前とか言われるのも嫌だろ?」
少年はたっぷりと間を置いたあとにポツポツと自己紹介を始めた。
「………………凛太郎、10歳。好きなのはお母さんといる時間、嫌いなのはお稽古」
「ふーん……わかった!じゃあ、凛な!よろしく!凛!」
「じゃあ俺は凛ちゃんって呼ぼうかな」
にっこり笑い、手を差し出すシンジの手を、凛太郎は浅く握った。
しばらく歩いていると、エレベーターがあり、シンジは慣れた手つきでエレベーターを操作する。
「凛、風呂と飯の前にまずはみんなに挨拶だ」
「わかった」
鼓膜にかかる重力がとても早くエレベーターが進んでいることを意味していた。
少年は唾を飲み込み、握り拳を作っていた。
「ついたよ、凛ちゃん」
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