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episode.76 助けて
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※「もう一度、僕を呼んで」のepisode.12-6、12-7とリンクしています。
〜明希side〜
「さぁ?」
傑は余裕の表情である。
明希にもこの男たちが何者なのかはわからなかった。
いや、まともに顔を見ることもできなかった。
「ローデンス国軍第一副長、ローズクォーツ。こっちは第四班班長、スモーキークォーツ。この名を聞いたことがないとは、言わせないよ?」
(ローデンス……?そういえば、ニュースで……)
明希の頭に少しだけ情報がよぎる。
だがすぐに恐怖で頭が支配される。
(そんな人たちなら……なおさら、助けてくれるわけがないっ……!)
「そうでしたか。パトロールか何かですかね?でも俺たちとは関係ないでしょ?」
傑は一瞬戸惑ったようだが、すぐに取り繕う。
黒髪の男が顔に怒りを滲ませてピンク色の髪の男に何かを話す。それに対してなだめるように返すピンク色の髪の男。
「さっきからコソコソと話すのやめてもらえますかねぇ?もうどっか行ってくれないかなぁ。」
傑はコソコソと話している2人にイラついたらしく、先ほどまでとは違う、不機嫌そうな声を出した。
「悪かった。それじゃあ君にもわかるように言ってあげるよ。」
ピンク色の髪の男は口元には笑みを浮かべ、目はまったく笑っていなかった。
「お前をローデンスの法律違反で逮捕する。もちろん、日本の首相は何も言わないと思うよ?」
「……は?」
「日本の法律がどうかは知らないけど、ローデンスでは複数人によるレイプは死刑にもなる可能性のある極悪犯罪。未遂でも懲役は免れないよ。」
(この人……なに言って……)
「さぁ、どうする?今アキをこちらに渡すなら、お互い何事もなかったことにしようか。俺たちもあまり逮捕とかしたくないし。」
黒髪の男はこれでも不服なようで、ピンク色の髪の男がまたなだめている。
「……いいでしょう。何事も、なかった。」
傑はそう言うとしゃがんでいる明希の耳元に口を寄せてきた。
「必ず、もう一度、会いに来るからね。明希。」
傑のその言葉に、明希の体は先ほどより震えだす。
(これで、終わりじゃないっ……!)
「それでは。俺たちはお先に。」
傑は男たちと消えていく。
明希はその場にしゃがみこんだままだ。
「アキ。」
明希はその声にビクンッと肩を震わせる。
(今度はこの人たちに……何かされる……!)
「俺たちは何もしないから。家は?送るよ?」
明希は首を横に振る。
今の明希は知らない2人と一緒にいることの恐怖しか感じていなかった。
明希はフラフラとしながら立ち上がり、顔をそっとあげた。
「ひっ……!」
目の前の男2人と目があった。
明希は視界が狭まり、気管支もキュッと締め付けられたような感覚に陥った。
その目には恐怖がありありと現れていて、何も映していなかった。
「アキ、大丈夫。俺たちは味方だよ。」
そう言ってピンクの髪の男が手を伸ばしてきたが、明希は後ずさっていく。
「い、やだ……こないで、こないで……やだ、やだ……!」
(怖い……この人たちに触られたくない……!)
全身が震え、恐怖だけが心を支配する。
「アキ。」
ふと、そう呼ばれた時、先ほどまでの傑とのことを思い出し、明希は尚一層、恐怖を膨らませる。
「いやだ!やだやだやだ!」
声はか細く小さいが、強い拒絶。
その時、明希の頭をよぎったのは翔也だった。
「たすけて……たすけて、こわい……こわい、しょ……やさ……」
何も考えられなくなり、口から心の声が溢れでる。
目に涙をいっぱい浮かべた明希はカクン、と後ろに倒れ、気を失った。
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