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episode.85 愛を与えて
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※「もう一度、僕を呼んで」のepisode.15-3、15-4とリンクしています。
〜琉side〜
ジルたちと連絡先の交換を終えると、恋に掴まり降りてくる明希を心配そうに見ながら降りてくる4人が目に入った。
「どうしたんだ?」
話も終わっていたので特に止めることもせず、琉は6人をリビングに入れた。
「あ、えーと、話すと少し長いというか……まあ下に降りてきた理由は、明希が木之本さんに会いたがったのと、クレアのことです。」
いつの間にかクレアの"さん"呼びが取れていて、どうやら仲良くなったらしいことが琉にはわかった。
「クレアがどうかしたか?」
リヴィがそう言うと、他の3人の影に隠れるようにしていたクレアがひょこっと顔を出す。そしてリヴィの顔を見ると涙をポロポロこぼし始めた。
「あー……せっかく泣き止んでから降りてきたのに……」
恋はそう言って苦笑する。
「ごめん……レン……」
「クレア……?」
「リヴィ……」
「……クレア、お前……!」
ジルが驚きの表情を浮かべる。
「ご迷惑、おかけしました……」
「……一体上で何があった?」
リヴィの顔は嬉しさと戸惑いで溢れている。
「……てかみんな座れば?明希ちゃん足震えてるし。言ってくれれば上に行ったのに……」
翔也がそう言う。
「ダメ!です!俺もみんなと会いたかったし、ハルとアレンに、お礼、言いたかったから。」
明希はそう言うとハルとアレンに目線をやり、ぺこりと軽く頭を下げた。
「助けてくれて、ありがとう……えっと、ごめん……こんなんで……」
明希は足がふるふると震えていて、まだ1人では立てないらしい。
「気にしないで。さっき年聞いたら俺の1個上なんだね!アレンと同い年だよ。」
ハルがニコニコしながらそう言う。
「うん、聞いた!ハル、タメ口でいいから!」
「ほんと?!やったー!」
「はい、明希ちゃん、座って。」
話の切れどころで翔也が恋に掴まっている明希の手を取りソファに座らせる。
それを合図に他のみんなも座った。
「……俺だけか……?まだ頭が混乱してるのは……」
座ってすぐ、リヴィがそう口を開いた。
隣にはクレアが座っている。
「あー……なんて言ったらいいんでしょう?」
恋は助けを求めるようにハンスとロンの方を見る。
「まあ、簡単に説明するとだな……」
ハンスは2階で何があったのか教えてくれた。
琉はそれを聞いて驚いた。
恋が、クレアに愛を示したらしかったからだ。
恋は愛ということを忘れてしまっている。そんな恋が、自分からクレアに愛を与え、クレアに自分自身を取り戻させた。
「レン……君には感謝してもしきれない。」
「え、いや、そんな……俺大したことしてないっていうか……」
「恋のおかげだなー。よかったな、リヴィ。」
琉はそう言って、リヴィの方を見ながら、恋の頭を撫でる。
それを見たクレアが恋を手招きして呼ぶ。
恋は不思議そうな顔をしながらも耳を寄せ、クレアが何かボソボソと言っている。
リヴィにも琉にも、何を言っているかなどわからなかった。
クレアが話し終え、恋が座り直した時、恋の耳は真っ赤に染まっていて、一体何を話したのか、琉は気になるばかりであった。
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