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〜恋side〜
「ねえねえ、千秋さん、紘さんと付き合い始めたんでしょ?!」
貴也が千秋の方にズイッと寄ってそう聞く。
「え?あ、うん…」
「千秋さん可愛いー!めっちゃ顔真っ赤!」
「貴也くん、からかうのもほどほどになー。」
「えへへ…」
恋に止められて貴也は頭をかく。
「そういえば、煌くんと貴也くんって同じ中学なんだね!」
「うん!」
「クラスは違うんだけどね。」
レジャーシートに座って、他愛もない話をする。
その姿が周りから注目を集めているとも知らない5人は、会話を続ける。
「あ、煌、奏さんと久しぶりに会ったけど、あんなだったっけ?」
貴也はそう言って首をかしげる。
「あんなって?奏兄ちゃんはいつも通りだと思うけど…」
「なんかすごい大人っぽい!」
「確かに、奏くんって琉さんにすごく似てて、雰囲気は高校生じゃないよね。」
「いろんなとこが琉さんにそっくりだよ。」
千秋の言葉に恋も頷き、そう言う。
「恋さん、いつの間にか琉さんって呼ぶようになってるしー!」
「ほんとだー!この前うち来たときは琉兄ちゃんのこと苗字で呼んでたのに!」
「う、うるさいよ!」
貴也と煌にからかわれ、恋は頬を赤くした。
「あ、恋が照れたぁ。」
「明希…お前は覚えとけよ。」
「なんで?!なんで俺だけ?!」
きゃっきゃっと話す5人は買い出しに行ってしまった4人の心配が的中するとも知らない。
「ねーねー、お兄さんたち何してるの?」
「5人だけー?めっちゃかわいいねぇ。」
近寄ってきたのは男3人。
いわゆるナンパというやつだ。
明希と千秋が体を強張らせたのを、恋は見逃していない。
1番男たちに近い位置にいるのが明希と千秋なのだ。
貴也と煌に男たちの相手をさせるわけにもいかない。そう思った恋は必死に頭を働かせる。
「ねー、俺たちと一緒に遊ぼうよー?」
「兄ちゃんたちと来てるからいけません!」
「そ、そうだよ!」
煌と貴也は互いに身を寄せ合ってそう言う。
「それならこっちの3人だけでも。」
そう言って男の1人が明希の肩を抱く。
「っ…やめてくださいっ…」
明希が息を詰め、震える声で抵抗しながら立ち上がる。
「手…離してください…」
千秋もそんな明希を見て男にそう言いながら立ち上がる。
「かぁわいぃ。ちょっと怖がってるとことか、その顔がとろけちゃうとこ見たいわぁ。」
「うわ、お前変態。」
「あの、離してください。」
恋は立ち上がりながら明希と男の間に入る。
明希と千秋をかばうようにして立ち、男たちをじっと見据える。
身長は恋より少し高いくらいだが、体格がかなりいい男たちだ。
「うわ、めっちゃ美人。」
「お前の好きそうなタイプー。俺はこっちの子の方がタイプ。」
男は明希を指差す。
「俺はこっちかなぁ。」
好き勝手に言っている男たちをじっと見ながら、早く琉たちが帰ってくることを祈るばかりだった。
「ね、どう?俺たちと一緒に行かない?」
「嫌です。2人を放っていけませんし。」
煌と貴也をちらりと見てそう言う。
「いーじゃん、ちょっとだけ。」
男はそう言って恋の腕を掴む。
その力は思いの外強く、恋の体は若干前に引かれた。
「ほっそ…まじ可愛い。」
(どうしよ…)
恋の頭の中にはぐるぐると回るいろいろな言葉。
でもそれはひとつも音にはならない。
「あ…」
色々と考えていたせいで、明希が発した小さな声は恋の耳には届かない。
明希が声を出した次の瞬間だった。
「誰の恋人に手出してるの?」
ふわっと後ろから抱き寄せられた恋は、思わず固まる。
「人の奥様に手出すなんて、ええ度胸しとるなぁ?」
「翔也、関西弁出てるぞ。」
「な、んで…」
戻ってきた3人を見て、恋は目を丸くする。
「兄さんたちが絡まれすぎてめんどくさいから俺が全部買ってきましたー。」
少し遅れて戻ってきた奏の手にはたくさんの食べ物。
「で、何か言うことは?」
「す、すいませんでした!!」
男たちは琉に怯えてさっさと去って行ってしまった。
「はぁぁぁ…まじ焦った。」
男たちがいなくなると、琉は大きく息をついた。
「遠目に明希ちゃんが肩抱かれてんの見て頭湧くかと思ったわ。」
「しかもそう言う時に限ってやたら絡まれるしな。」
紘が困ったようにそう言う。
「俺が全部買って帰るってなったのになんで帰りがほぼ一緒なの?」
「仕方ねえじゃん。」
琉たちが通ってきた方には人だかり。
まだ彼らを探しているようだ。
「明希ちゃんどこ触られた?消毒しなきゃ。」
「…翔也、お前言ってることとやってることがおかしいぞ。」
翔也は明希を抱きしめている。
「俺が全部触れ直して綺麗にするんですよ。」
「…はぁ…で、琉はいつまで恋を抱き寄せてるつもりだ?」
紘の言う通り、恋はまだ後ろから肩を抱かれたままだ。
「あ…忘れてたごめん。」
琉はそう言って恋を離すと頭をポンポン、と撫でた。
その時ホッとして泣きそうになってしまったなんて、琉には秘密だ。
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