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〜恋side〜
8月25日 15時
「恋、千秋お待たせ!」
恋の家に一度集まり、浴衣を着てから祭りに行くことにした。
「ん。今千秋の着付けてるからちょっと待ってて。」
恋は慣れた手つきで千秋の浴衣を着付けていく。
祭りは16時からやっているが、花火が19時からなのでメインはそこだ。
琉たちとの合流時間は18時の予定だった。
「おおおお…千秋可愛いっ!!」
「似合う…?」
「うん!すごい似合う!!」
「ほら、時間ないから次次ー。」
「ほーい!」
「明希も千秋も体細すぎ…浴衣着つけるの難しい。」
「細いとダメなの?」
「女性よりはまだいいけど…あんま見栄え良くないから。」
「へぇ…それでタオル。」
「そう。ん、明希、ここちょっと持ってて。」
「はーい。」
「千秋、動きにくくない?」
「うん、大丈夫。」
「ん、ならよかった。…よし…で、あとは…」
「ほんと手馴れてるなぁ。」
明希は恋の着付けを見て感嘆の声を上げる。
「自分のするのは苦手だけど。」
「とか言ってて結局綺麗にやっちゃうんだろ?」
1時間後。
「おぉぉぉ…恋、浴衣似合う。旅館行った時も思ったけど、浴衣の恋はエロい。」
「はぁ?!」
明希の言葉に恋は恥ずかしさもあって声を上げる。
「色気がある、が正しいんじゃない?」
「どこがだよ…」
千秋の言葉も恋にはよくわからず、そう言った。
「なんていうか、にじみ出るオーラがエロい。」
「そんなんだしてないし!」
「まあまあ、早く行こうよ。」
千秋は初めての祭りでかなりテンションが上がっているらしい。
ソワソワした様子からそれがよくわかった。
「よし、行くか。」
家を出ると道行く人も浴衣を着ていて、祭りに行く人がかなり多いようだった。
「歩いて30分くらいだっけ?」
「うん、神社の方。」
3人で並んで歩いていると、周りにも徐々に屋台が増えてきた。
「恋…綿あめ売ってる。」
千秋が目を輝かせた。
「…食べながら行く?」
「うんうん、そうしよ!!」
3人で綿あめを買い、口に入れる。
すぐに溶けて無くなってしまうふわふわした白い幸せ。
「おいひい。」
嬉しそうに微笑む千秋。
「んー…ひあわへぇ…」
綿あめを口に入れてニコニコする恋。
「綿あめってなんでこんなに美味しいんだろ。」
綿あめを見つめながらそんなことを言う明希。
3人はとにかく幸せそうだった。
「甘いものは全部美味しい。」
恋は思ったことを素直に口に出す。
「甘いもの制覇する?」
「「乗った。」」
千秋の提案に恋と明希は即答で同意した。
しばらく歩き、屋台通りに着いた。
「早速発見!あんず飴!」
明希が屋台を指差してそう言う。
「この水アメがなんとも言えない美味しさだよなぁ。」
「わかる。」
当然のごとく3人で購入し、食べながら歩く。
「んー…んまい。」
「そういえば、どこで合流なの?」
「ん、紘さんが、ここに来てって。」
そう言って千秋はスマホに地図を映し出す。
「ん…?これ神社の裏?」
恋はそれを見てそう言った。
「うん。なんか、買いたいものいろいろ買ってから来いって。」
「夜ご飯ってこと?」
「らしい。」
「焼きそば!」
「恋、焼きそば好きだっけ?」
勢いよく言った恋に、明希がそう聞く。
「んー…屋台の焼きそばが好き。」
「ちょっとわかる。美味しいよね。」
千秋が笑いながらそう言う。
「でも甘いもの食べてたらお腹いっぱいになりそう。」
恋はあんず飴を口にしながらそう言う。
お腹いっぱいになると思っていても、甘いものを口に運んでしまう。
「確かに…」
明希も同じことで、つぶやきながらもあんず飴を食べる。
「りんご飴とかカステラ焼きとかは買っといてあとで食べる?」
「そうだねー。」
千秋の提案に恋は頷く。
「あ、翔也さんがジャガバター買っといてって。」
スマホを見た明希がそう言った。
「じゃあ夕飯は焼きそばとジャガバターだな。」
「あ、クレープ。」
千秋が屋台の方に目をやりそう呟く。
「どこ?!」
「そこー!」
千秋が指をさしてクレープの屋台を示す。
「食べよ。」
先ほどお腹いっぱいになるかも、などと話していたのにやはり食べたくなった恋はそう言う。
「どれにする?」
「いちごチョコ。」
「恋それ好きだよね。」
明希がクスクスと笑いながらそう言った。
「バニラアイストッピングで。」
「よく食べるね。」
千秋も笑う。
「甘いものなら食べれる。」
「千秋はなんにするー?」
「僕は…チョコバナナで。」
「アイスは?」
「いる。」
「千秋も似たよーなもんじゃん。」
恋がそう言って笑うと千秋もえへへ、と笑う。
「…はい!これ!」
明希が3人分購入してきてくれて、それを渡してきた。
「ん、ありがと。」
「明希は何にしたの?」
「んー?キャラメル!」
「甘そ。一口ちょうだい。」
恋はそう言って、あーん、と口を開ける。
「いいよー!みんなで交換する?」
明希はそんな恋にクレープを差し出しながらそう言った。
「する。」
千秋も他の味が気になるようで明希の提案に即答した。
3人でベンチに腰掛け、クレープを回して食べる。
するとその目の前に女性たちが寄ってきた。
「あのぉ…みなさんお友達ですかぁ?」
「え、あ、はい。」
「よかったらご一緒しませんー?」
まさかの逆ナンパに、恋は驚いた。
男から声をかけられることはよくあるが、女から声をかけられることは少ない。
むしろそういうことがあるのは琉たちの方だった。
「ダメですかぁ?」
「あ…待ち合わせしてるので…」
恋が代表して答える。
「えーっ、残念ー。」
「ごめんなさい。」
女性たちはすぐに去っていく。
その辺は男と違って楽だ、などと恋は考えた。
「女の人に声かけられるとは思わなかったー。」
「それな。」
明希の言葉に同意しつつ、恋は残りのクレープを頬張った。
「…ねえ…なんかこっち来るんだけど。」
千秋が見ている先にいるのは大柄な男3人だ。
「…プールの二の舞は勘弁だぞ。」
恋はそう言ってため息をつく。
「しかもまだ翔也さんたちが来るまでに1時間ありますけど。」
「…これは逃げるが勝ち?」
「恋、もう遅い。」
千秋がそう言ってすぐのことだ。
「おにーさんたち暇ぁ?」
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