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夏祭りのその後【6人編】
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〜琉side〜
「完全に寝たな。」
紘の車の中で、3人はスヤスヤと寝息を立てている。
「疲れたのかな。」
「はしゃいでたからな。」
恋は寝ていても琉の浴衣の袖を離さない。
それが可愛くて、琉はクスリと笑う。
「何笑ってんの?」
そんな琉を見て、翔也がそう尋ねてきた。
「いや…恋が手離さなくてさ。」
「かぁわいぃ…恋くんって琉に本当懐いたよね。」
安心しきって、気持ちよさそうに寝ている恋の頭をそっと撫でる。
無意識か、それに擦り寄るように琉に体を預けてくる恋がまた可愛くて、琉は微笑む。
「懐いたっていうか、心を開いてくれたっていう感じかな。」
「そんなに安心した顔するんだな。」
「千秋くんだってそうですよ。紘さんがいる時は本当に安心した顔してる。」
「そうかな。」
紘はちらりと助手席の千秋を見やる。
その目は優しく、琉はふと、紘も千秋も変わったな、と思う。
初めて会った時は自分も敵対心をむき出しにしていたが、紘と千秋も警戒心が強かったと思う。
まして優しい表情など見ることもできなかった。
こんな風に穏やかに夏祭りに来ることなど、誰が想像しただろうか。
「みんな変わったよなぁ。」
そんな琉の思いを代弁するように、翔也がそう言う。
「まあ俺も含めて、みんないい変化なんだろうけどさ。」
「ま、恋たちのおかげだろうな。」
「全て恋の両親の事故から始まったと思えば、不思議なものだな。」
「運命のいたずらってやつ?」
「大げさな。」
琉は笑う。
翔也も紘も笑った。
「さて、そろそろ着くぞ。」
「…ではみなさん。くれぐれもやりすぎには注意しましょうね。」
翔也が冗談めかしてそう言う。
「…保証はしないわ。」
「…同じく。」
琉と紘は少し間を空けてそう答えた。
「まあ気持ちはわかるけどもね。」
翔也はそれに苦笑いだ。
「3人起こしてくれ。浴衣じゃおぶれないだろうし。」
家が近づいてきて紘がそう言った。
「ですねー。明希ちゃん、着くよー。」
翔也が明希の肩を叩く。
琉も恋の肩をポンポン、と叩いた。
「ん…おはよ…ございます…」
「ははっ、朝じゃないよ恋。家着くから起きて。」
「もー、明希ちゃーん起きてー!」
翔也が必死に明希の肩を揺するが、明希は唸るだけでなかなか目を覚まさない。
「…起きないな。翔也の家もう着くぞ。」
「仕方ない…抱いて帰りますわ。」
「そうか。じゃあ今ドアを開ける。」
紘は車を止めると一度降りて翔也側のドアを開ける。
翔也は紘にお礼を言って、明希を姫抱きにして家に帰って行った。
「ん…紘さん…もう着く…?」
「ん、起きた?着くよ。」
千秋は紘が運転席に戻ってくると自分から起きた。
その頃には恋も意識がはっきりしてきたらしい。
「はい、お疲れ。」
「ありがとうございました。」
琉は送ってもらったお礼を紘に言う。
「いえいえ。また会おうな。」
「そうですね。」
「千秋またね。」
「うん、また連絡しよ。」
千秋と恋はヒラヒラと手を振って、4人は別れた。
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