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〜琉side〜
『つまり、整理すると…嘘ついた恋さんにカッとなって問い詰めたら、逆に琉さんが怒られたってこと?』
「そんなとこ。」
「恋くんが琉を平手打ち…?何もしてないのに?そんなわけないよね?琉まだ何か隠してる?」
「…カッとなって、押し倒して問い詰めた。」
琉の言葉に、翔也と小雪が黙る。
『なにそれ、最低!押し倒して問い詰めるとか、そんなのダメに決まってんじゃん!』
「つか、恋くんはもうエッチ克服してんの?まだ怖いんじゃないの?」
「…まだ克服してないけど…」
『え、なに、エッチが怖いって。恋さんなんかあったの?』
不思議そうな小雪に、翔也が同窓会の時のことを説明した。それから琉がセックスをしばらくしないという約束をしていたことも話した。
『うわ…マジで最低。なにそれ、本当嫌われるよ。』
小雪の言葉はもっともで、冷静になってみればとてもひどいことをしたんだとわかる。
だが、なぜ恋が怒っているのか、というのは琉に理解できなかった。
「さっさと連絡とって謝りなよ。」
「それは無理。」
「なんで。」
「恋がなんで怒ってるのかわかんないから。」
『琉さん、なんか誤解されることしたんでしょ?疑われるなら琉さんだって言われてるんだから。』
「それが思い当たらないから困ってるんだろ。」
「……あーーーーっ!!」
翔也が突然大声をあげ、琉は頭を押さえた。
寝ていない体に、大声は響く。
「思い出した!琉が酔っ払った日、ここに送ってきた時に愛海(まなみ)さんいたんだ!」
『愛海さんって…あの、鷹島(たかしま)愛海さん?』
「そう!」
鷹島愛海というのは、鷹島グループの1人娘でありながら、女優として活躍している女のことだ。
今、琉と翔也が撮影しているドラマで共演している。
「愛海さんがどうかしたのか?」
「琉のニブチン!最近のお前の行動を思い出せよ!」
愛海に頼まれ、朝早くから稽古に付き合い、夜も2人で演技の練習、さらには食事に行ったりと、思えば愛海と過ごす時間は増えていたように思う。
だが、それがなんなのだろうか?
「愛海さんが琉にやたら密着したりするから、香水とかも移ったんだろ。それで恋くん、琉が女の人が好きになったと勘違いしたんじゃないか?」
『あー…もともと琉さんはゲイじゃないし、それは恋さんも知ってるし。不安になってもおかしくないね。それも琉さんは浮気のつもりなんてこれっぽっちもないから、説明もなにもなし。そりゃ不安も広がるよ。』
「朝早く出て、夜遅く帰ってくる…琉は仕事だって割り切ってても、恋くんには不安だったんだよ。」
翔也と小雪にそう言われ、やっと恋の言っていたことが理解できた。
「別れる前に距離をとる、か…恋くんらしいよね。」
『にしても、僕が嫌がらせしても怒らなかった恋さんを怒らせるなんて、琉さんまずいんじゃないの?』
琉は、この小雪の言葉を、身をもって体感することになることを、まだ知らない。
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