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〜琉side〜
20時
「…かなりイラついてるな。」
琉の様子を見て、紘がそう言う。
翔也と紘が琉の様子を見にやってきていたが、琉の機嫌はかなり悪い。
「1日恋がいないだけでこれじゃあ…」
紘は苦笑いする。
「明希くんにも千秋くんにも頼ってない…連絡もなし…やっぱ傑か?」
ぶつぶつと呟く琉は、今日1日恋の行方について考えていた。
どんなに考えても、恋が明希や千秋以外に頼るところが思い浮かばない。
この2人に頼ってないとなると、どこかのホテルに宿泊しているとしか思えない。
そうなると探し出すのは困難だ。
一刻も早く恋を連れ帰り、誤解を解きたい。だが、思うように進まないのが現状だった。
「とりあえず琉、飯食えよ。」
翔也が明希が作ってくれたらしいお弁当を渡してくる。
「千秋が言うには、恋はホテルには泊まってないんじゃないかってさ。」
話を聞いた明希と千秋もいろいろとしてくれているらしい。
「ホテルに泊まってない?!じゃああいつどこ泊まってんだ?!傑か?!傑なのか?!」
「琉、お前落ち着け。」
翔也になぜか掴みかかった琉を紘が宥める。
「傑に連絡してみればいいのか?!そうなんだな?!」
「だから落ち着けよ。」
「…はぁ…紘さんさ、千秋くんのこと探してる時どうしてた?俺とは全然状況も違うし、紘さんは1つも悪いことしてないわけじゃん。それなのに千秋くんがいなくなって、それを探して…」
「俺が悪くないなんて、言えないよ。俺があの時戻ってれば、とか、そもそも事故当時、父上に歯向かってればとか。思うことはたくさんあった。でもそれより、早く千秋を見つけたくて…必死だった。」
「…使える手は全部使うか…片っ端から知り合いに写真送って…」
「いやいやいや、琉落ち着け。千秋のことと今回のことは違うし、まず先に恋に連絡を…」
必死に止める紘に向けた琉の視線は、まるで子犬だった。
「…既読、つかないし、電話でないし、何しても反応なし。探して連れ帰るしかないんです!」
「明希ちゃんたちには返事してるみたいだけど…?」
翔也の一言が、琉にとどめを刺した。
琉はうなだれ、食事どころではない。
「ま、まぁ…それなら明希とか千秋に聞き出してもらうって手も…」
「お願いします!!!」
食い気味で紘の言葉に返す必死な琉に、翔也と紘は顔を見合わせて笑う。
「…おい、翔也。何笑ってんだよ。」
「なんで紘さんには言わないで俺だけ?!」
「紘さんは年上だから。」
「理不尽!まあ琉がこんなに必死なの久しぶりだし、協力してやるよ。」
「俺も千秋に聞いてみるよ。とにかくちゃんとご飯は食べて、きちんと寝ろよ。琉が体調崩したら意味ないだろ。」
「はい…」
「ま、監督が胃腸炎でしばらく撮影は休みだし、この間になんとか見つけようよ。」
「おう。」
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