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〜奏side〜
朝から貴也の可愛いが止まらない。
まず待ち合わせ。
俯いていた貴也に近寄って顔を覗き込むとリンゴのように真っ赤になり、視線を泳がせていた。
髪がぴょんぴょん跳ねていて、寝坊でもしたらしいことが丸わかりだが、それがまた可愛い。
それから手を繋いだとき。
奏は好きな子を目の前にしてスキンシップを我慢するなど不可能だ。
手を繋ぐくらいは、と思いさりげなく手を握ると、これまたリンゴのように真っ赤になる。
貴也は腐男子というやつで、こういった展開を予想しているかと思っていたが、そうでもないらしい。
いちいちウブな反応を見せる貴也が可愛くて仕方ない。
このウブな反応を楽しみたいが、自分色に染めてしまいたいという欲もある。
そこまで考えて、奏は一度冷静になれ、と自分に言い聞かせた。
それから電車の中。
ホラー映画を見る、と言ったら嬉しそうにした。
もちろん貴也がホラーが好きなのはチェック済み。
琉から翔也に聞いてもらい、貴也の好きなものはすでに把握している。
それでもわざと、怖いなら言って、と言うと貴也は困ったように目を泳がせる。
BL漫画とやらでは、ホラーを怖がる受けが多いようだ。
そして電車を降り、また手を繋ぐとあたふたと声をかけてくる。
迷子防止だと言えば、子供じゃない!と言われるかと思っていたが、何も言わずに少し握り返してきたときはもう悶え死ぬかと思っていた。
さらに映画館に入ってからも、ポップコーンを口につけたり、奏の一言一言に反応して、それはそれは可愛い。
そして今。
「きゃぁぁぁ!」
映画館内に悲鳴が響く中、貴也は奏の左肩に寄りかかり、爆睡中である。
映画はかなり怖いシーンに入っているのに、貴也は起きる気配がない。
それどころか奏の肩に擦り寄り、気持ち良さそうに眠っている。
奏もホラーは耐性があるので、叫んだり驚いたりというのはあまりないが、ドキドキして仕方ない。
今にも理性が崩れそうなのを必死に抑え、貴也が起きないように、映画館から借りた毛布をかけてやる。
「んん…」
すると少し身をよじって、毛布の下で奏の左手の小指をきゅっと握る。
まるで赤ん坊のような反応で、可愛すぎて奏のにやけが止まらない。
(本当やばいな…なんでこんなに可愛いんだこの子。)
もう映画の内容など頭に入ってくるわけがない。
結局、終始熟睡していた貴也を眺め、ニヤニヤとしながら、映画をほとんど見ることなく、上映が終わった。
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