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〜明希side〜
「…んっ…やば!!」
目を覚ますと、すでに時計は10時を指していて、明希は慌てて起きた。
「いくらなんでも寝すぎだろ!!」
自分で自分に突っ込みつつ、リビングに入ると、翔也がコーヒーを飲んでいた。
「あ、おはよう。」
「あれ…?お休みですか?」
「うん。休み。よく寝てたね。やっぱり体調悪かった?」
「もう、大丈夫です。」
「そっか。よかった。」
ふわっ、と柔らかく笑う翔也に、明希も微笑み返した。
つもりだった。
「えっ、え?!明希ちゃん?!」
ガタン!と立ち上がった翔也が、近づいてくる。
「へ?」
「な、泣いてる…やっぱりなんかあったんでしょ?」
「え、俺…」
頬に手を添えると確かに濡れている。
「明希ちゃん…俺には言えないこと?」
翔也がそっと抱きしめてくれて、翔也の匂いがする。
ものすごく、安心した。
それと同時に、とめどなく涙が溢れてくる。
「っふぅ…うぅ、うっ、うーーーっ…」
「よしよし。大丈夫だよ。」
まだ何も言っていないのに、優しく背中をさすって、そう言ってくれる。
「しょ、やさん…いなく、ならないで…」
「うん?いなくならないよ。」
「しんじゃ、やだ…」
「…ん?」
「がん、なんて、やだぁぁ…」
「え、えっ、ちょっと待って。俺がガンって何?!」
「ふぇ…?だ、だって…けん、こう、しんだん…」
「健康診断?そんなの受けてない…あ、いや受けたけど、異常なしだったよ?」
「でも…精密検査が、必要って…腫瘍が、あるって…」
言っているうちにまた涙が溢れてきた。
「え、そんなのないけど……あ、もしかしてあれか?!」
まだ泣いている明希から離れ、翔也は引き出しを開ける。
「これ、のこと?」
翔也が取り出したのは、確かに明希が見つけた通知と同じもので、明希はこくりと頷く。
「あー…ごめんね。これはね、ドラマの小道具なんだよね…」
困ったように頭をかく翔也に、明希はきょとん、とした。
「こ、どうぐ…?」
「今度、撮り始めるドラマで、ガンになる主人公の役になってさ。その、通知書。だから、偽物。」
「にせ、もの…」
そう聞いたら、今度は安心して、また涙が溢れてくる。
「あーっ、もう泣かないで?ね?ごめんね?紛らわしかったよね、ごめんね?」
「うぅー…しょうやさん、しんじゃうのかと、おもってぇぇぇ…」
「死なない死なない!めっちゃ元気だから!大丈夫だよ。ね?だからもう泣かないで?」
よしよし、と頭を撫でて、ぎゅっと抱きしめてくれる翔也に、明希も抱きついて身を委ねる。
「あーもう、本当に可愛いなぁ。こんなに可愛い奥さん置いて死ねるわけないでしょ。」
チュ、と軽く額にキスをされて、びっくりして涙が止まった。
「ふふ、泣き止んだ。大丈夫だよ。まだまだ死ぬ気ないから。」
「うんっ…死んじゃダメ…」
「よし!朝ごはん食べよう。そしたら明希ちゃん補充させて?」
「補充?」
「イチャイチャさせてー。」
「…うん。俺も、いっぱいイチャイチャしたい。」
「…やっぱ今。お昼豪華なの食べさせてあげるから今イチャイチャさせて!!」
「えっ、わっ!」
ソファにぽすん!と倒された明希は、翔也をじっと見つめる。
「ほんと可愛い。大好き。」
「えへへ…俺も、好き。」
「明希ちゃん、補充します!!」
ぎゅーっと抱きついて、チュ、チュ、といろんなところにキスをする翔也に、明希はクスクスと笑う。
結局その日は1日中、翔也とくっついて、イチャイチャとしていた明希だった。
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