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〜恋side〜
1月20日
「なんか緊張する…」
「僕も…」
恋、明希、千秋の3人は、近くの病院の産科にやってきていた。
以前は産婦人科と呼ばれていたこの科だが、男性でも妊娠が可能になった昨年、産科と名前を変えていた。
今回、20を超えた、東京に住む男女で、妊娠していないもの全員に設けられたのが、体質検査。
妊娠可能かどうか調べる検査だ。
男性でも妊娠可能になったとはいえ、検査薬の適合度や、順応度は人により異なる。
それを検査するというものらしい。
琉たちも検査して、不妊の可能性がないか調べる。
男性側にも、無精子症などの問題がある可能性があるのだ。
が、恋たちのような男性同士のカップルの場合、基本は女性側になる男性の薬の適応度の検査が主だ。
「もしかしたら妊娠できないかもしれないってことでしょ…?」
「まあ体質によって違うらしいからな。」
「翔也さん子供ほしいって言ってたのに、もしダメだったら…」
明希が不安そうにそう言う。
「もしダメでも不妊治療があるし。」
「そうだよ。翔也さんと一緒に受診して、治療したら大丈夫な人もいるし。」
「はぁぁ…不安。そもそも男性妊娠は負担が大きいって聞くし…」
「あー、体調とかな。つわりとかも大変らしいし…」
「遥さん大変そうだもんなぁ。」
待合室で3人で話しながら待つ。
日曜もやっている病院を選んだからか、かなり混んでいる。
「木之本さん。」
「は、はい!」
明希が呼ばれて、検査室に入る。
「恋もやっぱり、子供ほしいの?」
「う、うん…そりゃ、ね。千秋は?」
「僕も欲しいな…僕もともと子供好きだし。」
「だよなぁ…つか男ばっかだな…」
あたりを見回すとそこら中に男性がいる。
男性妊娠が可能になった今普通より多いのかもしれない。
「聖川さん。」
「青木さーん。」
2人も呼ばれて、検査室にそれぞれ入った。
「はい、初めましてー。」
「初めまして。」
「今日は…はい、検査ね。尿検査と、採血、あと直腸検診と…あとエコー検査…わからないことあったらその時聞いてください。」
「はい。」
「じゃあまず、採尿してきてくださいね。」
医者の指示通りに行動して、ものすごい違和感があった直腸検査もなんとかこなし、検査が終了した。
「検査結果出るまで少しお待ちください。」
そう言われて検査室を出る。
既に終わっていたらしい千秋と明希も待合室にいた。
「どうだった?」
「結果はまだ。」
「そっか。」
「聖川さん。」
「あ、行ってくるね。」
「木之本さーん。」
「うぇ、吐きそう…」
恋はクスクスと笑いながら2人を見送る。
「青木さん。」
すぐに恋も呼ばれ、今度は診察室に入る。
「検査の結果ですが、妊娠には問題ないと思われます。ただ、妊娠後は少し気をつけた方がいいかもしれませんね。つわりなどの症状もそうですが、流産などにも注意が必要です。」
医者は検査結果の紙を見ながらそういう。
「とはいえ、きちんと安静にしていれば流産も無いでしょうし、問題ないと思いますよ。」
医者はそう言ってにこりと笑ってくれた。
(よかった…)
ホッとしながら診察室を出る。
すると明希が青ざめた顔をしていて、千秋が明希の背中をさすっている。
結果が良くなかったのだろうか。
「明希…?」
「恋…」
明希は俯いていて、千秋が顔を上げる。
「どうしたんだ?」
「結果、悪かったみたいなんだけど…僕にもよくわからなくて…」
「明希、どうした?」
ともかく結果を聞こうと、優しくそう尋ねる。
明希は今にも泣き出してしまいそうな顔を上げた。
「妊娠、できないかも、って…」
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