アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*188
-
〜翔也side〜
駅のすぐそばのファミレスにいるという4人を迎えにいく。
チラリと窓から覗くと、4人の姿が見える。
楽しそうに話しているのを見ると、安心した。
「俺たちが中に入るのはまずいよね。」
「だな。今日は変装も何もしてないし。」
「呼ぶか。」
電話をかけて、中にいる4人を呼ぶ。
すぐに4人が外に出てきた。
「おかえり。大丈夫?」
「はい!」
もうすっかり元気らしい明希と、軽く頭を下げる傑に笑いかける。
「恋くんも千秋ちゃんも乗って。」
明希が助手席に、他の3人が後ろに乗る。
「楽しかった?」
「はい!あ、あの、旅行って…」
行かせてもらえるのか、と、明希の視線が寄せられる。
恋と千秋も視線をよこす。
翔也は優しく微笑む。
「いいよ。楽しんで行っておいで。」
「本当に?!」
明希が身を乗り出す。
「ちょ、ちょ、危ないよ。」
「ご、ごめんなさいっ!」
かなりテンションが上がっているらしい明希を見て、思わず笑う。
「傑、こいつら頼むよ。」
琉が後ろで、恋の頭をポン、と撫でてそう言う。
「わかってます。今日1日でよぉくわかりましたよ。」
少々苦い表情を浮かべる傑は、明希たちがいかに無防備であるかがよくわかったのだろう。
翔也も琉も紘も、そんな傑を見て笑いが止まらない。
「俺たちってそんなにダメなんですか?」
恋が不思議そうに琉にそう聞く。
無防備、無防備というが、3人の無防備さは少しずつ違う。
恋の場合は、放つ色気を理解していない。
AV男優だった頃に比べ、今はさらに色気を放っているのだが、それに気づかない。
明希の場合、素で男を誘う節がある。
明希自身は何かしているつもりはないし、実際何もしていないのだけども。無意識というのは怖い。
千秋の場合は、その優しさが誰にでも向くことや、物静かで可愛らしいところを、隠さない。それがいかに男を煽るか。
彼らは女性からもモテないわけではない。
それも気になるが、やはり1番は男性からの視線だ。
出歩いていても男の視線を感じる。
「ダメっていうかなぁ。」
「言っただろ、無防備だって。」
「傑に言われたくないぞ!」
「俺はいいんだよ。」
明希と傑が言い合いを始める。
この2人はもともと気が合うのだろう。
「ま、まあまあ…」
「傑も明希もやめろって。」
千秋と恋になだめられている様子を見ると、本当に仲がいいな、と思う。
旅行に行けば、さぞ楽しんでくるのだろう。
それぞれを家まで送り届け、翔也と明希も家に帰り着く。
「翔也さん…」
「ん?」
「ぎゅーっ…」
腕を伸ばしてくる明希を抱き寄せる。
「翔也さん、本当は全然、傑に怒ってないでしょ?」
肩に顔を埋めながら、明希がそう言う。
「…バレてた?」
「うん…今日わかった…」
初めの印象は最悪。2度も3度も明希を泣かせている。
だが、恋を助けたことや、明希にきちんと謝ったこと、その後の真摯な態度を見ていれば、傑は悪い子ではないのだとわかった。
厳しいことを言い続けたのは、本当の意味で明希と和解してほしかったから。
今日、彼らはきっと、本当に友達になれただろう。
「ありがとうございます…」
「俺は何もしてないよ。」
「ううん…翔也さんに会わなかったら、傑と仲直りできなかった。だから翔也さんのおかげ。」
ぎゅっと抱きついてくる明希の頭を撫でる。
「翔也さん大好き。」
「…その顔は俺だけのものね。」
翔也はそう言って、明希の額にキスを落とした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
391 / 832