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〜貴也side〜
2月15日 16時
「明希さぁぁぁん!!助けてぇぇぇ!!」
「えっ、え、なに?!誰?!」
明希の大学の方に向かって走りながら、明希の姿を見つけた貴也は声をあげた。
そばにいた友人らしき人物と2人でキョロキョロと辺りを見回す明希。こちらにはまだ気づいていない。
「明希さぁぁぁん!!」
「えっ、貴也くん?!」
「明希、誰?」
「え、あ、俺の義弟…」
明希の元についた貴也は縋るように明希にしがみつく。
「ど、どうしたの?」
「ど、どっ、どうしよっ!奏さんのお家にお呼ばれした!」
「は、はぁぁぁ?!」
明希が叫んで、周りの視線を引き付けてしまう。
だがすぐに視線は離れていく。
「ど、どうしたらいい?!えっち、エッチすんの?!」
「大声でそんなこと言わない!と、とにかく一旦帰るよ!ごめん柚葉、また月曜ね!!」
「え、あ、気をつけろよ!!」
軽く友人に手を挙げた明希に連れられて、大学を離れる。
少し離れたところで歩調が緩まった。
「で、なにがどうなって家に行くことになったの?」
「そ、それが…」
事の発端は、貴也が学校から帰った15時頃のこと。
奏から電話がかかってきて、他愛もない話をしていたのだが、その時にテストの話になった。
もうすぐやってくる学年末テスト。
貴也はとにかく数学が苦手で、憂鬱でたまらなくて、思わずそのことを話した。
奏が数学教師を目指していることを、すっかり忘れて、だ。
「そしたら、勉強教えてあげるって、言われて…お家にお呼ばれした…」
「は、破廉恥な!」
「でしょ!!」
貴也と明希の頭の中で繰り広げられた想像は、大方一緒だ。
貴也のBL知識がふんだんに使われた妄想、である。
「恋にも相談しよう!なんてったって奏くんの義兄だからね!!」
明希の言葉に大きく頷いた貴也。
2人で恋の家を目指した。
恋の家に着く。
「あれ?恋さんちの表札ないよ?」
「あ、うん、今ね、赤津に変えるために取り外したんだって。でもいろいろあって、まだ婚姻届出してないんだ、あの2人。」
「そうなんだ!!」
明希がインターフォンを鳴らし、ほどなくして恋が出てくる。
「どうした?貴也くんまで連れて。」
「恋!折り入って相談が!!」
「…とりあえず入る?」
家の中にあげてもらい、リビングに入る。
恋が温かいココアを入れてくれた。
「で、どうした?」
「奏くんが破廉恥なんだよ!」
「そうなんです!」
「は?意味わかんないけど、ちゃんと説明して?」
貴也は明希にした説明を恋にもする。
すると恋は大きなため息をついた。
「明希も貴也くんも、どういう思考回路してんの?なんでそれが破廉恥になるんだよ…」
「だって!」
「ねぇ!」
「AVじゃあるまいし。どうせあれだろ、"俺がコッチの勉強も教えてあげる"とか想像しただろ。」
「ば、バレてる。」
「んなの奏くんがするわけないだろ。それするならプール行った時にもう襲ってるだろ。」
「確かに。」
明希は恋の言葉に納得しているが、貴也はイマイチわからない。
プールの時に、何かあっただろうか。
「プールのとき、なんかありました?」
「…覚えてないのか。」
「まあ無理ないよね…貴也くん寝てたし…」
「えっ、俺なんかやっちゃってます?!」
「いや、大丈夫。とにかく、2人の考えすぎ。普通に勉強しに行ってきなよ。」
「りょ、了解です!!木之本貴也いきます!」
「どこのアニメだ。」
恋と明希に笑われたが、貴也は緊張でそれどころではなかった。
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