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2.渡良瀬塾
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数か月前の僕なら、天にも昇る心地だったかもしれない。なのに今は、素直に喜べない。
もう彼のことはきっぱりと忘れようと思っていた。遅くとも四月にはこの苦い初恋を手放せるはずだった。そのための準備も、順調に進んでいる。
それなのにどうして彼は僕の覚悟を揺るがすようなことをするのだろう。僕が彼を忘れられたとでも思っているのだろうか。
ーーいや、本当は分かってる。彼にとっては僕の気持ちなんかより、目の前に迫った問題のほうがよっぽど大事なんだ。
以前は僕の気持ちを押しつけて不快な思いをさせてしまった。だから、せめて最後に彼のためになることをしよう。それを思い出にして、この恋を終わらせよう。
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