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episode.03 発情期(ヒート)
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少し涼しくなってきた10月頭のある日、昼下がりのことだ。
ジル「…誰か発情期(ヒート)状態なのか?」
俺は廊下を歩いていて甘い匂いを感じた。
Ωが発情期になった時の香りだ。
レイ「ジル様がわかるなんて…相当強い発情期ですね。確かに、微かですが甘い匂いがします」
番関係を結んだあとでも、αは他のΩに誘発される。それは番関係を結ぶ前よりははるかに弱い誘発だが、フェロモンにあてられやすい体質のαであれば性行為に及ぶこともある。
番関係は婚姻の契りと同じ。Ωには生涯関わる話だが、αにはあまり強い拘束力を持たない。
とはいえ、ローデンスでは契りを一度結べば、ほぼ一生、それが解消されることはない。ごく稀に、αが一方的に解消することがあるが、ほとんどは相手の死によるものだ。
ジル「レイが何事もないということは、ロンではないな」
番のΩが発情期に入った場合、αは他のΩより強く、惹きつけられることになるのだ。
レイ「今朝クレアとハンスに会っていますが、2人はなんともありませんでした」
ジル「お母様でもない。第一俺は城のΩの発情期はほとんど感じないはずだが…」
俺は体質で、Ωの発情期を感じにくかった。理性的に、性行為に及ぶのを抑えることができるのだ。
だが、今回の甘い香りは、俺を惹きつけてやまなかった。
レイ「だとしたら一体誰が…」
レイと俺は顔を見合わせてハッとした。
3ヶ月前は、この城にいなかったΩがいる。
ラズだー。
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