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合流
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「さささ佐藤さんごごごごめんなさい!」
無事合流した健太郎に安堵の息をつく暇もなく、謝り倒される佐藤は困ったように頭をかいた。
この恋人に謝るなと言っても聞かないだろう。
自分の非礼を必死で謝罪するタイプである彼にそんなことを言っても火に油を注ぐだけだ。
佐藤はそう考え、苦笑いを浮かべた。
「まあいいだろ別に。そんで、どこ行きたい?」
佐藤の問いかけに、健太郎はきょとんとする。
その間の抜けた表情に、ああこいつは本当に天然なんだなと少しだけ感心した。
「えっ僕が決めるんですか?」
「そりゃこういうもんは女側が決めるもんだろ」
「僕女の子じゃないです…。可愛くもないです」
恐縮する健太郎だったが、佐藤から見ればそこらへんでヤマンバメイクをしている女子高校生の数十倍は愛らしいと思う。
心の中で惚気ている間に、健太郎の顔色は悪くなる一方だ。
きっとそんなこと考えていなかったのだろう。
自分の意見より相手の意見を尊重する健太郎は、自己の希望や行きたい場所などぱっと思いつかないのだろうか。
泣きそうになっている恋人の頭に手を置き、「本屋めぐるか」と優しい微笑みを向ける。
佐藤も彼と同じ、相手に喜んでもらえればそれでいいのだった。
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