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「はぁ……」
自分以外には誰も居ない生徒会室に寂しく響く溜息。
窓の外はもう既に暗く校内にいた生徒達は皆寮の部屋に戻ったというのに、一向に減る気配の無い書類に囲まれて帰れないでいるのはこの学園の生徒会長である御堂梓。
書類が山積みになっている理由は決して梓の能力不足では無く、最近転入してきた問題児にあった。
転入してきてから2、3ヶ月。
校内のありとあらゆる物を壊し、多くの生徒に怪我を負わせる。日に3つは事件を起こすそいつに梓は困り果ていた。
(風紀は一体何をしているんだ)
何度考えたかわからない言葉が頭をよぎるが、この件について一番動きにくいのは風紀である事を知っているが故に強くは言えない。何せあの問題児は理事長の甥である。風紀の力で抑えつけようなんて事は出来ないのだ。
だが、風の噂であの委員長が直々に転入生に張り付いているという情報は耳にしていた。
ここ一週間ほぼ生徒会室に閉じこもりっぱなしの梓は実際にその状況を見たわけではないが、そこまでしているのにも関わらず何故問題児は大人しくならないのか。
(まさか、あいつまで奴らみたいに……)
あのヘラヘラとした人当りの良い笑顔を転入生に向けているところは容易く想像できる。
俺には向けてくれない、あの優しい顔。
脳裏に浮かんだそれを振り払うように梓は椅子から立ち上がった。
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