アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
どろどろの邪心 (11/12)
-
……白々しい太陽の光が、我の眠りを目覚めさせた。
目をふせて朝日を浴びると、白い体毛に包まれていた我の体は、ヒトもどきの姿へ変化する。
さて、今日は何をしようか。
……そもそも、我はいつも何をして時間を潰していたのだ?
ヒトの子と交わると、いつもこうだ…。
平生、何をしていたのかを忘れてしまう。
我は嘆息すると、小祠へと足を進めた。
久しぶりに山の主の寝床を掃除するか。
小祠に続く階段を上っていくと、ヒトの声が耳に届いた。
……この声は…。
「ばーちゃん、ここで白に会えるようにお願いしたらいーの?」
「手の平を合わせて叩くんだよ…たっちゃん。ほれ、ばあちゃんの真似をし」
「よーし。山の神様、お願い!白に会わせてください!会わせてちょーだい!」
……山の主に対して、なんたる口の利き方だ。
まったく、あの小僧は。
影でその様子を見ていると、小僧の隣にいた老女が口を開いた。
「狐さんよ……。もしかしたら近くにいるかもしれんな。もし居らっしゃるなら、私の話を聞いておくれ…」
「……!」
「…え?白、近くにいるの!?」
「たっちゃん、"もしかしたら"だよ…。
私の夫は、早くに亡くなった……病気でな。
夫は自然を愛する人でな、この裏山を買い取っていた…」
買い取った……?
すなわち、この山は老女の領地ということか。
「何故ならな、昔この周辺で大掛かりな道路工事が設計がされていて、この山は切り崩される予定だったのだ……。
私の夫はそれを防ぐため、懸命に動き、それを阻止したよ……ええ男だった」
……そうだな。
深く感謝致そう。
彼がこの山を守らねば、山の主も死んでいただろう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 72