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尋ね人と待ち狐(9/22)
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「小僧……!やめろ…やめるのだ!目が鬼のようになっているぞ…!」
「やだ!白を女の子にするんだ!」
俺が飛びつくように駆け寄ると、白はそれをヒラリとかわす。
そして俺の腕を掴むと、そのまま押し倒した。
俺の背中を背の低い草達が受け止め、俺の上に覆い被さった白が見下ろしてくる。
「小僧。我を女にしても、我はお前と結婚はせぬ」
「……!何で…?」
「したくないからだ」
「白……白は…俺のこと、好きじゃないの…?」
「……!」
目の端に涙をためながら、白の紅い瞳と視線を交える。
白は俺の質問を聞いてピクッと身じろいだけど、そのまま黙り込んだ。
白……やっぱり俺の事好きじゃないんだ…。
「う…っぇ、ふああああぁん"!」
「お、おい、泣くな……!我はお前の事を嫌いと言ってはおらぬぞ!」
「ぅ…っ、じゃあどー思ってるのぉ…?」
「……」
白は黙って立ち上がると、乱れた服を整える。
それから俺の両わきに手をかけて持ち上げ、かかえるように抱っこした。
白は俺を抱っこしたまま歩を進める。
「……白?」
「この寒空だ…はしゃぎ泣き、風邪をひかれても困る」
そう言った白は、俺を山の頂上付近にある小屋みたいなところへ連れてきた。
木で作られたそれは、古くて壊れそうでちょっと不気味だ。
白の胸元に顔をうずめて、服をギュッと握る。
「ここ…なぁに…?」
「昔、ヒトが山籠りに使っていた場所だ。
外にいるよりは温まるだろう」
「暗くて怖い…」
「案ずるな。我がお前の傍にいる」
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