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尋ね人と待ち狐(21/22)
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──ヒトの子が早朝に訪れてきた日から、三日経った。
ヒトの子は、あれから我の前に姿を現していない。
恐らく、あの老女の葬儀で忙しいのだろう。
……あの小僧のことだ、また鼻を赤くして泣いているに違いない。
そして瓜坊の様に、我の腹に突進してくるのだ……「白、白」と呼びながら。
……焦慮に駆られている己がいる。
あぁ…、怖い。このままでは、達希に飲み込まれてしまう。
支配するな……束縛するな。
我の存在は、誰のものでもない。
──己の感情を殺し続ける日々。
認めたくない……小僧への思いを認めてしまえば、また我は独りになってしまう。
それなのに、目の前の幸せに溺れたがっている己が、平生いるのだ。
……助けてくれ……達希。
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