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そして、僕のクラスには佐久良さんの真反対を極めた最強の不良様がいる。
廊下側一番後ろの僕の席とは対照的な窓際一番後ろの席。そこの主は出席日数ギリギリで通ってくるため、教室にいることすら珍しい。今日も当たり前のように席は空いている。
一ノ瀬楓。
この学校に通っていてその名を聞いたことがない人はいないと思う。それくらい札付きのワルだ。
色々伝説を持っている一ノ瀬くん。喧嘩のことから女の人との関係まで色々。僕をいじめている奴らも皆んな一ノ瀬くんの信者か何かのようだ。彼が教室にいるときは僕に目を向けることすらない。要するに上履きがある日は一ノ瀬くんがいると言うこと。
だが、一ノ瀬くんからいじめを受けた事はない。彼も僕をいじめろといった命令のようなものはしていない様であった。
彼と僕は一年生の頃からクラスがずっと一緒。
物事を一線引いて冷めた目で見ている一ノ瀬くんは、年々その温度を下げていっている様な気がする。精神年齢が周りよりも高いのか、いつも落ち着いて我関せずといった感じを貫いていた。僕のことを認識しているかは知らないけど、彼ほど怖いってイメージがハマる人はいない。なるべく卒業まで関わることなく過ごしたい………。
そんなくだらないことを考えていると大体いつも50分が終わる。チャイムが鳴ると同時に先生は挨拶もせず、てきとーに教室を出て行く。それを咎める生徒がいるどころか見てもいない。先生がいてもいなくても相変わらず教室はうるさかった。
そして僕はその先生の後を追う様に教室を出てトイレへ向かう。この行事は大切なもので、休み時間の度に行う恒例のものとなっていた。ずっと教室にいると、めんどくさいやつらに絡まれてはパシられたり殴られたりするので、そうされる前に逃げるという少々乱暴な打開策。通学かばんごと持って移動しないとならないのは欠点だが、何もされないことに越した事はないから何も言うまい。
こうしてこれを繰り返し、僕はなるべく平穏に、と午前の授業をこなしていく日々を送っていた。
今日もこのまま一日が終わっていくと、疑いもしなかった。
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