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先生の愛した担当
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「カミエちゃん?」
しずしずと泣き始めた彼に、
何故かドキドキと心臓が焦って高鳴り出す。
慌てて彼の肩を掴むが、上江は首を横に振った。
「......ちょっとでも、
先生が書く綺麗な世界の中に入れたのかもって.....
烏滸がましかったですね...」
ぼそぼそと呟く彼の言葉は、
一体どれだけ変態エロ小説を神格化しているのかというものだったが
自分の言いたいことが全く伝わっていないようで
會下はどうにかしてその指の隙間を覗けないかと顔を近づけた。
「ん..いやだからさ、カミエちゃん話聞いてた?」
「私が勝手に勘違いしただけなんでしょう、
笑えばいいでしょ、どうせこんな..」
「だからぁぁ!」
會下は無理矢理両手を引き剥がした。
赤い顔のまま泣き崩れている彼は驚いたようにこちらを見てくる。
「あなたが、好きです!」
きっと、その滲んだ瞳も赤く染まる肌も描けはしない。
才能もこれまでの軌跡も、
アイデンティティなんてチンケなものも。
會下詠慈は、惨敗した。
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