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猫まみれという至福の体験で、天国に召されかけようとしている俺の耳に「ああ、お主あの時の人間か」という声に漸く現実に返ってきた意識。
そうだった、彼に聞きたい事があったんだった。
「え、ちょ、どこ行くの!?」
「チッ…目聡い」
が、しかし
向けた視線の先にはベンチの背凭れに右足を掛け、明らかにここから立ち去ろうとしている姿があった。
俺は慌てて左足首を掴んだ。
「なっ、この…離さんか!」
「うわわ…!」
俺の手を振り払おうとゲシゲシと蹴りを入れられる。
しかも、迷いなく顔を狙ってきている。
いやいや!いま離したら確実に俺の顔面お陀仏だよね!?
一体この細身な身体のどこにそんな力があるのか。
気になるけれど、そんな事より今はまた彼が消えてしまう事の方が問題だ。
幸いにもリーチ差があったのでそれを利用し、必死に顔への攻撃を避けていると焦るような声が上がった。
「お前達この人間を押さえよ!」
「え!? ちょっと待ってそれひきょ…ッ」
抗議する間もなくニャアニャアと邪魔をしに入るモフモフの群れ。
その内の一匹が顔に飛びついてきて、視界が暗転した。
驚いた俺はその仔を取ろうと焦って立ち上がり、右手を顔へやろうとした。
「待っ、止め…!」
「え…? あ、」
しかし、そこで思い出す。
右手で彼の足首を掴んでいた事を。
そして、更に脚に巻き付いてきたモフモフの感触によって
俺の重心は前へと傾いた。
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