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「…ん」
口に柔らかい感触がするような気がして、ふと目を開ける。
「!! あ、えええ!?」
眼前に同じように驚きに目を見開く薄紫の瞳。
柔らかいと思っていた感触は彼の『唇』だった。
奇声を上げ、覆い被さるような形だった彼の上から急いで飛び退く。
ズザァッと後退すると腰を勢いよく腕置きにぶつけ、ここがベンチの上である事にその時気が付いたが内心はそれどころではなかった。
「不慮とはいえ、お主から接吻しておきながら…何じゃその反応は」
「ごごごごめん! 本当にごめん!わざとじゃなくて…っ」
額をぶつける勢いで土下座すると「…別に気にしておらん」と上から溜め息混じりの声が落とされた。
そろりと見上げると、どこか冷めたような視線が向けられていた。
「ただ粘膜が接触しただけじゃろう。何をそんなに騒いでおる」
「ね、粘膜って…」
事もなげに言い放たれたその単語につい顔が赤くなる。
「何じゃお主、これしきの事で紅潮するとは…さては童貞か」
「ど…っ」
「いや、良い。その反応でおおよその見当は付いた。それに、お主ばかりに非がある訳ではない。故に気にする必要はない」
そう言うと、いつの間にか彼の膝で丸くなっている猫を彼は視線を促すように見下ろした。
俺は「はは…」と乾いた笑いを返すしかなかった。
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