アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12
-
沢山の人々が思い思いに過ごす、駅前の大型ショッピングモール。
その目と鼻の先に、俺は立っていた。
「…何で」
「同僚が気になっていたのじゃろう?」
「…っ」
居ても立っても居られなくて、俺は八代君の制止の声も聞かず走り出していた。
今月のシフトは確か…この時間だと…!
汗の滲む額を拭う。
辿り着いたその場所には、変わらずに元気に働いている二人の姿が目に入った。
ここに来るまでに、自動ドアではタイミングが合わず額をぶつけ、階段では足を踏み外しそうになり、行き交う人とは肩が当たりまくるという
過去最多とも言える不運の連続で、ここに辿り着くまでに普段の何倍もの時間が掛かったような気がする。
ここ最近は結構調子良かったのに…?
どうして突然こんなにも不運が重なったのかよく分からないが、今はそんな事よりも優先すべき事がある。
「山田さ――」
しかし、呼ぼうとした瞬間、誰かの手によって口が塞がれ、後ろ手に拘束されて物陰に引き込まれた。
「んん!?」
「静かにせい」
八代君…?
「全く…傍を離れるなと言うたじゃろうが」
「むむん…」
「謝るなら今後するでないぞ」
こくこくと頷くとやっと開放してもらえた。
「悪い事は言わん。あの二人の安否が確認できたのなら、これ以上関わるな」
「………え?」
言われた意味が分からなくて、目を瞬かせる。
「な、何で?」
「………」
問い掛けても、八代君から返ってきたのは沈黙だけだった。
そして、漸く開かれたその口が
とても重苦しい声で告げたその内容は――
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
58 / 87