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嫌いな人
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《白石 夕》
朝、目を覚まして驚いたこと。
その1、ソファで寝ていた筈なのに何故かベットに移動していた事。
その2、オレの横(というか目の前)に杉野の顔があったこと。
その3、その杉野の体を、オレがまるで抱き枕でも抱いているかのように背中に手を回しぴったりくっついていたこと。
「───っ!?」
驚いて叫びそうになったのをすんでのところで堪える。
何だこれ何だこれ何でベット?てか何で杉野!?え、オレ昨日何した...?
昨夜の寝る前の事を思い出してみてもやっぱりソファで寝たはずだ。
ということはオレが眠った後、杉野がベットに運んだのだろう。
いや、それにしても何でお前も一緒に寝てんだよ!
でもってオレ何でオレこいつに抱きついてんの!?
.........まてまて落ち着け。とりあえずこいつ起こさないように退けないと。
こんなにくっついていたなんて知られたら恥ずかしさで死ねる。
杉野に気づかれないようにそーっと腕を引き抜いた。
ふー、と静かに安堵の息をつくと杉野がパチと目を開けた。
「よお、起きたか。案外早かったな」
「ひ...っ!?」
ズザザザザッと座ったままベットの端まで後ろに下がった。
「お...お、おお起きてたのかよ.........っ」
「まあな。動けなかったし」
淡々と答える杉野に顔がブワァと熱くなっていく。
........死にたい。
杉野が前髪をかきあげてゆっくり上半身を起こした。
「.........」
何も言わずオレをじっと見る杉野を睨む。
「.........なんだよ」
沈黙に耐えれずシーツを手繰り寄せて、前髪をいじりながら言葉を発する。
「...火傷、平気か?」
「は?」
「首」
杉野が自分の服をぐいっと引っ張って首筋を見せた。
仕草が一々色っぽくて腹が立つ。
「別に.........こんなの、どうってことねぇし」
自分の首に手を当てると剥がれかけている絆創膏が貼ってあった。
どうせ寝ている間に杉野が貼ったのだろうと思うと何だか癪に障って、まだ少しヒリヒリする火傷を我慢してビリっと絆創膏を剥がした。
見せつけるように剥がしてやったのに、杉野は何の反応もせず興味無さそうにベットを下りた。
「飯作っておくから顔洗って来い」
そう言って寝室から出ていった。
パタンと扉の閉まる音がして電気のついていない寝室に1人残される。
ハッとしてかき集めていたシーツに目をやった。
皺のついた真っ白なシーツを見て、次に大きな枕を見る。そして寝室全体を見渡して1人になったことを自覚すると、心臓がドクンと嫌な音を立てた。
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