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聞きたいこと -17
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"第2学年 第1回進路調査"
きっちりとしたフォントでそう書かれている
A4のプリントを前の席の鈴原から受け取る。
進路…か。進学校なら、まだ学校生活の
半分も終わっていないこの時期に早くも
考え始めるのが普通なんだろう。
しかし今はそれどころではなかった。
「お前って何で俺のこと避けるように
なったの?」
その言葉を、何度も何度も反芻した。
しかしどれだけ考えてもアイツがそんな事を
言った意図が俺には分からなかった。
あー、、モヤモヤする。
そんな気持ちのままホームルームは終わり、
生徒たちが続々と帰宅し始める。
俺はその群れには紛れず、ただひたすらに
あの言葉のことを考えていた。
しかし考えれば考えるほどに、
余計心に雲がかかった感じがする。
その心境は窓の外でごうごうと音を立てて
降り続けている雨のようだった。
ここで一人で考えても仕方ない、
とりあえず帰ろう。
俺が長い間ここにいたからか、
大雨のせいで多くの部活がオフに
なったからか、校舎には人影が
ほとんどなかった。
下駄箱に辿り着き、靴に履き替えて
最近買ったばかりの紺色の傘を
開こうとした時だった。
達が入り口に立っている。
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