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聞きたいこと -18
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遠い日のことを思い出す。
『おれ、雨は嫌いなんだ』
それはある雨の日のこと。
小学校3年生ぐらい。
『へー、おれはう〜ん、普通かなぁ、
外で遊べないのは残念だけど、
なんか落ち着くからな〜』
俺の家の窓際に座り、二人で外を眺めていた。
『おれも昔はそうだった』
そう、昔からそうだ。
『…雨の日に、リアがスリップした車に
轢かれて死んだ時までは』
昔から達は、雨の日が嫌いだった。
そして、猫が大好きなのに
そのショックでそれ以来飼えずにいた。
開いたガラスの扉の前で、
少し顔を上げて立ち尽くしている達の、
大きな背中から感じ取れる感情は、
今はなかった。
通り過ぎてしまおうか。
達は何を思いながら降り続ける豪雨を
見ているのだろうか。それを思うと
心が痛い。
…でも今の俺と達は、
何の関係もないんだ。
そう、俺は達の友達でもないし
優しい人間でもない。
だから他人と一緒に傘に入る必要はない。
そう言い聞かせて靴を履き替えていた時、
達が意を決したように外へ走り出した。
「…おい待てよ!!!」
俺は気付いたら走り出していた。
『雨に濡れるのは特に嫌いでさ。
道の真ん中でぐちゃぐちゃになった
リアを見つけたあの時の気持ち、
今でも思い出しちまうから…』
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