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「きりーつ。れい。」
誰かのだらしない声で授業が終わる。
先生か教室から出ていくとともに騒がしくなる。
虎汰郎の教室へ向かおうとすると、スマホに通知がくる。
『委員会があるので、ちょっと時間がかかりそうです!』
その後にはごめんと書かれた猫のスタンプ。
そのラインに『待ってる』と返す。
既読はつかないからもう委員会中だろうか。
少し暇つぶしでもするかと購買の自販機の缶ジュースを買いに行く。
缶ジュースを買って、近くの部室棟の壁にもたれかかっていると中から聞いたことのある声がした。
「虎汰郎さー、いつまでアレ続けるんだろうな」
虎汰郎と聞いて覗いてみると虎汰郎の友達だった。
アレって?
「なー、あいつホモなんじゃね。」
「間瀬一夜にバレたらヤバイって。病院送りにでもされるんじゃね?」
バレる?俺に?何が?
「いつまで言わないつもりなんだろ。
罰ゲームで付き合ってるってさ。」
罰ゲーム。
俺も最初はそうだと思ってた。
でも虎汰郎が違うって。
嘘だったのか?分からない。
でも、辻褄が合う。
ヤらせてくれないこと、いきなり告ったこと、たった2日で両思いになったこと。
隠してたのはこれだったか。
虎汰郎の怒りは湧いてこない。
その代わりに悲しさが溢れてくる。
その感情にああ、好きなんだと感じて惨めになる。
涙が溢れないように空を見上げ、缶を握り潰した。
そこからは覚えていないけどいつの間にか自分の家にいた。
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