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白川さんのお父さん ③
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週明け、浅黄は見たままを水野に報告した。
「その人が浮気の相手なのかしら」
「さあ。偶然会っただけなのかもしれないしね」
「でも、偶然って感じじゃなかったんですよね?
二人の関係はなんかありそうでした?」
「1回見ただけじゃ、わからないよ」
「そうですよねえ。
今週も見に行ってくださいよ。
そしたら、少なくとも、偶然なのかどうなのかわかるじゃないですか」
「え~」と抵抗する浅黄の横で、どうせ押し切られるんでしょとばかりに藍川が笑っていた。
そして、次の金曜日、偶然ではないことを浅黄は確認した。
今回は、最初から白川の父の顔が見えるベンチに座り、彼が女性を待っている様子を見ることができた。
前回同様、15分ほど話をすると、二人は別れて行った。
それをそのまま、水野に報告した。
「なんか、もやもやした結果なんですけど。
もっと、決定的な情報ないんですか?」
水野は不満そうに言った。
「そんなこと言われても困る」
「きのう、また、白川さんがいらしたんですけどね。
お父さんは、お母さんには、ふだん、自分から話しかけることもないんですって。
自治会の役員もやってるらしいんだけど、その集まりで浮気相手の旦那さんと、平気で顔を合わせてるらしいですよ。
お父さんが一人で近所のスーパーに買い物に行くときも、どうやら、浮気相手と会ってるみたいで、買い物にしては帰ってくるのが遅いんですって。
白川さんは、年取った両親には穏やかな老後を送ってほしいと思っていたのに、こんなことになって残念だって。
浅黄さん、お父さんに直撃してもらえません?」
「やだよ」
「家族のために別れるよう説得してもらえません?」
「水野さん自分で行ってきなよ。
仕事抜けるの、お母さんから許可もらってあげるよ」
「ここへきて、私を見捨てるんですか?」
「そもそも、俺、関係ないし」
「私も関係ないですよ。
でも、私の両親も70過ぎで、まあ、それなりに元気でやってます。
たまに遊びに行くと、お互いをいたわりあってるのがわかります。
それがもし、白川さんのご両親のように、浮気をしてるんじゃないかってぎすぎすとした関係になってしまったら、とても悲しいなって。
浮気が許せないとかじゃないんです。
穏やかに過ごしてもらいたいって思うんです。
だからね、つい、他人の家のことだけど、人ごとに思えなくて…。
大奥様も白川さんに同情されて、『私にできることがあれば、何でも言って』っておっしゃってました。
浅黄さんも、大奥様とは『関係ない』とは言わないですよね?」
「まあ、そうだけど」
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