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求愛と報い 2
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静かな保健室内にカシャンと勢いよくカーテンを開ける音が響いた。
ついに。ついにこの時が来た。
と言わんばかりに伊積恭介は両手を握りしめた。
茶色く染めた髪と沢山のピアス、
着崩された制服はいかにも授業をサボっている不良生徒だったが
この男子生徒、伊積恭介の目的は、ただ1つだった。
彼はベッドの上に正座したまま二つ隣のベッドで眠っている生徒の姿をじいっと見つめる。
2つ隣のベッドの上には、ボサボサの黒髪がシーツの上に乗っかり、うつ伏せに倒れ、眼鏡がその横に投げ出されている。
布団を被ることもなく、上靴も片方は床に落ち片方は足から脱げかかっている。
まるで死体のような寝姿であった。
「雛瀬先輩...」
心臓がドキドキとうるさく脈打っている音が聞こえてくる。
恭介はペシペシと自分の片頬を軽く叩き、ベッドから飛び降りた。
一先ず彼の眠るベッドの横を抜け保険室のドアへと近寄り鍵を閉めた。
かちゃりと冷たい音が静かな室内に落とされる。
恭介は勢いよく振り返り、1ミリも動くこともなくベッドに身体を投げ出している少年に近付いた。
一見死体のようでもあるが耳をすますと小さな寝息が聞こえてくる。
焦る気持ちを落ち着けせながら、
まずは靴を脱がせてやり床に綺麗に並べておいた。
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