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不思議な後輩 7
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何故家を知っているのかはわからなかったが、
下手に抵抗して殴られでもしたら痛いだろうし
硝子は仕方なく一緒に帰る事にした。
しかし自分なんかと歩いていて彼は大丈夫なのだろうか。
「鞄持ちますよ」
「え..いや、大丈夫...」
「身体、平気ですか?朝辛そうだったから」
ちらりと彼を見上げると、恭介は本当に心配そうな顔をしてこちらをじっと見ていた。
その真っ直ぐな眼差しを直視できず、硝子は再び俯いた。
「......平気...です」
「本当に?」
追い討ちをかけられたが、
硝子はこくりと頷くことしか出来なかった。
今は痛みも治りつつあるし、嘘では、ない。
「なら、よかった」
恭介はそう言って、どこか安心したように笑っていた。
朝言われた、好き、という言葉を思い出して
硝子は複雑だった。
この世の中は広くて、確かにそういう、
同性が好きな人もいるのだろうけど。
性別以前に自分は人間的に好かれる要素を持ち合わせてはいないし
そういうものとは無縁に生きてきたからどうしたらいいのかがわからない。
出来れば他人と関わりたくない、関わるべきじゃない。
そう思って生きているから。
硝子はぎゅっと鞄を握り締めて
どうしたら逃げられるかを考えていた。
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