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「そこ、座って」
突っ立ったまま佇んでいた俺に篝は優しい声でそう言って、いつの間にか淹れたらしい珈琲を俺の前にあるテーブルへ置いた。
砂糖とミルクは?と聞かれて、いらないと首を振って答えた。
珈琲の芳ばしい香りが鼻を擽る。
気持ちがゆっくりと落ち着いていくような、そんな感覚。
「……何で助けてくれたの?…ていうか…何であそこにいたの?」
篝が淹れてくれた珈琲を一口飲んで落ち着いたところで、俺から話を切り出す。
テーブルを挟んだ俺の前の席へ腰を下ろしている篝は珈琲を飲みながらチラリと俺に視線を寄せた。
「あそこに居たのは、1年の風紀委員に廊下で揉めてるから来てほしいって連絡が来たから。そしたら、麻見がいたから俺も吃驚した。麻見って、あんまり生徒会室以外居るイメージ無いし」
まあ……確かに。
寮の自室以外は殆ど生徒会室にしか行かないけれども。
それにしても、篝があそこに居たのは風紀委員の子が呼び出したのか。
それなら、居た理由も納得が行く。
「で、信じたのは……俺が麻見の事を好きだから」
「………………はい?」
「麻見の事が好きなんだよ。…結構前から」
………いやいやいや、ちょっと待ってくれよ。
篝が俺の事を好き?
しかも、結構前から?
今迄に無いくらいに動揺してしまう自分。
え、だって……。
殆ど話した事も無いのに?
冗談でしょって言おうと思ったけれど、篝の漆黒の瞳からは嘘なんて微塵も感じられなくて。
額に汗が滲む。
思考回路がパンクしてしまいそう。
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