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1階にあるリビングに着くと一足先に由貴が着いていて、母がキッチンでお茶の準備をしていた。
リビングにある大きなアンティークソファーに腰を下ろす。
相変わらず座り心地の良い感触に何だかホッとした。
「お待たせ。今日は二人が好きなハーブティーにしてみたの。ママがお庭で育てたハーブなのよ」
母はそう言うと、トレーに乗せてきた高そうなティーカップを三脚テーブルの上に置いた。
それと、大量の手作りクッキーにフルーツタルトにマカロン。
母は俺と同じく痩せの大食いなので、このくらいの量はぺろりと平らげてしまう。
「うん、美味しい!やっぱり母さんが淹れてくれるハーブティーは美味しいね!」
「あらあら、由貴ちゃんたら!ママとっても嬉しいわあ。由良ちゃんはどう?美味しい?」
「うん……美味しいよ」
母が淹れてくれたハーブティを一口味わい、そう言うと母はとても嬉しそうに微笑んだ。
そんな母の様子を見て、相変わらず平和だなあと安堵する。
「二人とも、学校はどう?楽しい?」
「うん、楽しいよ。なあ、由良?」
「うん……凄く楽しい」
「あら!由貴ちゃんは兎も角、由良ちゃんが凄く楽しいだなんてどうしたの?いつもは、普通だとかまあまあだとかしか言わないのに珍しいわね」
確かに………。
毎回、母や父に学校は楽しいかと聞かれては、濁した歯切れの悪い返事ばかりしていたのに。
今日は、楽しいと無意識に言葉が出たのだ。
それは間違い無く、篝の影響で。
篝と関わり合う様になり、俺の世界は瞬く間に変わった。
毎夜飽きもせず、フラフラと意味の無い行為ばかり繰り返していた自分が嘘の様だ。
あんなに冷めていた心の奥が今はこんなにも温かさに満ちている。
人は、愛されるとこんなにも心が温かくなるのだと身を持って知った。
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