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夕暮れ、昼下がりとそらるさん。③
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結局僕は味気ないオムライスを頬張り、パフェを頼む気にもならなかった。
そして、そらるさんはドリンクバー1杯飲んだだけで、僕との会話もままならないまま終わってしまった。
お会計のとき、
「あ…」
そらるさんが一言もらした。
「…?」
「ごめん、、まふ、ちょっと急がなきゃいけない。お会計しといて。あとで俺が払うから…」
…ああ。
「わかりました。気にしないでください。」
僕はいつもの笑顔でそう答えた。
僕がそう言うと、慌てたようにそらるさんはお店を出ていった。
「はあ…」
このため息は何なんだろう。
そらるさんに奢ってもらえなかったからではない。
そらるさんにいじわるをされたわけでもない。
そらるさんにデートをドタキャンされたわけでもない。
だけど、なんでだろう。胸の奥のところがきゅうってなって…
ああ、胸って本当に痛くなるんだなあ…
ずっと例えだと思ってたけど。なんていうんだろう。僕の胸は靴ズレしたのにそのまま歩き続けなければ行けないみたいに、痛くて。
そらるさんがいない。
そらるさんと一緒にいたい。
特大パフェなんて食べれなくてもいい。
一緒にデートなんて行けなくてもいい。
いっそ、一緒に歌をうたえなくなってもいい。
一緒にいられれば、それでよかったはずのに。
ああ…なんで今気づいたんだろう。
一緒にいられることが、何よりも幸せで楽しかったのだ。
できるなら、いっそ、まだ出会って間もない頃に戻りたい。そしたら、こんなに悩まなくても済むんだから。
ああ、さっき、僕、上手く笑えたのかな……
零れそうになる涙を抑えて、僕は、ファミレスをあとにした。
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