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二人が用意してくれた夕飯を摘まみながら、少し酒も飲んだ。ハイテンションなユキと穏やかな先生の掛け合いは聞いてるだけで居心地が良かった。ユキは気を使ってるのか何なのか、彰吾のことには触れてこなかった。別れたと報告したわけではないが、彰吾が海外にいるのは知っているのだろう。なんとなく察しているのかもしれない。あれこれ聞いてくるのではなく、変わらない調子でいてくれるのは有りがたかった。大方先生についての惚気を聞かされたが、羨ましくも思うけど幸せそうなユキを見ていてこっちも嬉しくなった。
ユキはハイペースで飲み続け、一頻り惚気終わると俺の膝の上で寝てしまった。いつもなら蹴り飛ばしているところだが、今日は嫌な気はしなかった。俺の身体にもすっぽり収まるユキの体温が心地よかったのだ。
「ごめんよ、今退かすから」
完全に寝入ってしまったのを見て、テーブルの上を片付け終わった先生が言った。
「いえ......もうちょっとだけ、貸してくれませんか?なんか、温かくて」
「構わないけど。それよりごめんね、ほとんど祐希しか喋ってなかっただろ。しかも、なんか色々恥ずかしいことを散々聞かれてしまった」
「微笑ましかったです。ユキ、ほんと先生のことが好きなんですね。それに先生も」
「いやー......はは。......それで、雅くんの悩み事は......俺が代わりに聞くんじゃダメかな」
「ふふ、先生の目、してる」
「ほっとけない質なんだよ。熱血教師とかって影で言われてたりウザがられてるのも分かってるんだが、ついお節介してしまってね」
先生は全くの他人だけど、全てを信じることができた。距離感がちょうどいい。この人になら全部話してしまってもいいかもしれない。不安も、悲しみも、一度全て素直吐き出してみても許されるかもしれない。
「俺の方こそ、押し掛けてしまって本当にすみません」
「気にしなくていいよ。雅くんは、祐希の本当の友達みたいだから。ずっと心配していたんだよ。テレビCMで見かけなくなって、イベントの仕事も一時期休んでいたみたいだね。復帰してからのステージをネットで見ては、絶対なにかあった、心配だって言ってたんだ。あぁ......先日は恥ずかしいことをしてしまったね。まさか最中の電話が君だったとは思わず、ちょっと嫉妬心が出てしまって。いや、今でも少し嫉妬してるけどね」
「俺に、ですか?」
「祐希がそんなに懐いてるのは雅くんくらいだよ。こんな性格だから、誰にでも懐いてるようには見えるけど、祐希には祐希なりの壁があるんだよ。......ところで、祐希とは当然身体の関係もあるんだろ?」
「......えっと」
「雅くんは特別だっていつも言ってる。童貞を捧げた相手なんだって」
「......このバカ」
「でも、本当に大切に思ってるんだろうなって言うのは、今日だけでもよくわかったよ。だから、俺も力になれるならなりたいと思う」
「......先生は、本当にユキのことが好きなんですね」
「情けないくらいにね」
こんなに愛されてユキは幸せ者だ。すぴすぴと小さな寝息を立てるユキの頭をそっと撫でて、俺は二人の好意に甘えるように、ぽつりぽつりと話始めた。
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