アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
64
-
毎日柚木には感謝しっぱなしだった。ろくに友達もいない俺には日本から連絡をくれるやつもいなければ、相変わらず英語が話せないから外人の友達なんてのもいない。いくら今までも一人で生きてきたとは言え、柚木がいなければ話し相手一人いなくなるところだった。さすがにそれは、いくら俺でも病む。
おまけになかなか料理も上手いし、よく部屋も片付けてくれるし、ごくたまにある休日には近くのギャラリーやカフェ、本屋、面白そうな所を見つけては俺も連れて行ってくれた。今日も美術館に一緒に行って、その帰りに近くの公園で屋台で買ったホットドッグを食べていた。
「柚木ってめっちゃいい男じゃん......俺、惚れそう。まじ最高の彼氏」
「なに気持ち悪いこと言ってんですか。やめてください」
「なんでモテねぇの?」
「......昔の彼女には、写真オタクって言われましたね。仕事に熱中し出すと、つい彼女のことも忘れちゃって。デート行ってもついつい写真の構図とか考えてしまったり」
「あー。同じ趣味の子ならいいけど、普通の女はそれじゃムリだわな」
「ちゃんと好きだったんですけどね。最近成宮さんといるのが居心地良すぎて、ますます彼女作るとか考えられなくなってる」
「じゃあもう付き合う?」
「付き合うって言っても、今となにも変わらないじゃないですか」
「......だな」
「心にもないこと言うもんじゃないですよ。別に恋人と言おうが友人と言おうがこの関係は変わらなくても、成宮さんが本気で好きなのは雅さんだけでしょ」
「......悪ぃ」
「別に謝ることはないですけど。俺と成宮さんが最高のパートナーであることに変わりはないから、結構特別な存在ではあるし」
「おう」
拳と拳をぶつけて笑い合う。
柚木には本当に感謝している。柚木がいるから頑張れる。
ここに来た時はまだ春だったのに、いつの間にか秋になろうとしていた。もしここでしっかりと地に足をつけて自分に自信が持てるようになったら、また雅に会いに行こう。恋人には戻れなくても、雅も最高のパートナーだったのだ。まだ緊縛の世界にいるなら、いつかまた一緒に仕事ができればいい......そんな風に思い始めた矢先に、その連絡はあった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
66 / 214