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どうして俺はこんなにも弱いのだろう。どうして、一人で生きていけないのだろう。
他人を求めたのは今に始まったことではない。でも、龍弥に叶わぬ想いを抱いていた頃よりも酷い。心から想ってくれる人に、同じ想いを返せないのに愛してほしいと思うことがどれ程酷いことか分かっていながら求めているのだ。
「姫、泣かないで......泣かないでください」
不器用な轟さんの手が俺の頬を伝う涙を拭ってくれる。
本当は、もう大丈夫と笑って、轟さんと他愛ない話をして、ユキとの仕事の裏話なんかして、楽しく過ごせればいいと思っていたのに。
「ごめんなさい、ごめんなさい......」
誰も幸せにできない。そんな自分の虚しさに泣けた。泣けば泣くほど迷惑になる。それなのに泣くしかできない自分にまた嫌気が差した。
「あ、謝らないで......ひひ、姫、姫......」
「んっ......」
突然、轟さんの匂いが強く感じた。のし掛かるように抱きしめられている。その強い力は、とても轟さんのものとは思えなかった。
「ああ、謝るべきは私です!姫を励ますこともできず、あまつさえ涙を流す姫に欲情して収まりきれません」
「とどろき、さん」
「わ、私が、成宮氏の代わりになれたらどんなにいいか......私が成宮氏ならば、姫を悲しませることは絶対にしないと誓いますのに」
「轟さんは轟さんのままでいい......好きです。轟さん」
「ううううう、嘘は身体によくありません!」
「嘘じゃない。好きなのは、嘘じゃない......轟さん」
固く閉ざされた唇に、啄むだけのキスをする。
「俺のこと、好き?」
「す、すす、す、きで、す」
「俺のこと......抱きたいと思う?」
ロボットのようにぎこちなく、轟さんは頷いた。
「こんな汚れた俺でもいいなら......少しでも轟さんが喜んでくれるなら、俺のこと、抱いて......」
一文字に結ばれた唇を舐めて、ほどけるまでキスをした。はぁ、と息が漏れたところで舌を入れ、誘い出した舌を吸った。
「が、が、我慢、できません......っ」
「我慢なんてしないで......俺の身体で、せめて気持ちよくなって......」
ぎらぎらした目で見つめられるのが嬉しかった。求められるのが嬉しかった。そのうちにおずおずと手が俺の胸を撫でた。その手を胸に押し付けて、感じるところを教えてあげる。
「ぁ......ん、そこ、もっと触って......」
轟さんの動きは焦れったくて焦れったくて、俺もドキドキしてしまう。
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