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寒いと思っていたが、ついに雪が降って来た。この寒さなら雪も降るよな。
雪の降るビルの屋上は予想を遥かに越えて寒い。先ほど寒くなかったのは、きっと隣に遼介が居てくれたからだろう。
「…紅茶もっと飲めば良かったなー…」
こうなる事が考えられなかった訳じゃない。気が付いたらもう手遅れだったんだ。
気が付いたら、もう、遼介の事が気になって仕方が無い。
隣に居ると胸がよく痛んだ。
仕事があると言って会えない時はもっと痛み、同時に何で俺は何も出来ないんだと悔しさが込み上げた。
しかし、もうそんな我が儘は聞けない。
遼介に迷惑を掛けてしまった。
未来も何も無い、惨めな俺が、遼介の未来に、傷を付けてしまったんだ。
「ごめんな、遼介…」
元々、“この”つもりで今日まで生きて来たんだ。後悔はしても遅い。
だから、後悔なんかしない様に、毎日をただ何となく過ごして来たのに、あの日お前に会ってしまった。
そして、お前に告白されて…、迷ってしまった。
だが、今はもう迷ってられない。
もういいんだ。
「俺…とっくにお前に惚れてたわ」
冷たい風が全身に激しくぶつかる。
そして、
薄く雪の積もったコンクリートに、
赤黒い俺の未練が飛び散った。
‐end‐
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