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「何だよ急に!ちょっ、いい加減離せって」
スタッフルームの一番奥の、…ここどこだ?
倉庫の様な場所に来て、漸く俺の腕から手が離れる。
坂城遼介は何やら肩を震わせていたが、やがて落ち着き、勢い良く頭を下げた。
「お願いします!店には黙ってて下さい!」
「え、何を」
「俺が坂城遼介だって事をです」
「…別に誰にも言わねーよ…てか言う奴居ないし」
そう言うと、安心したのかやっと顔を上げ、俺を感謝の目で見て来る。
「良かった…会社には秘密なんです…」
「何?稼げてないの?」
「いや、お陰様で最近ではテレビにも出させて貰って、今の所は稼げてます」
「…あっそ、じゃあ俺帰るわ」
「えっ!?」
今から何かが始まりそうな空気をぶち壊し、今来た道を戻ろうとすると、坂城遼介が慌てて止めに入って来た。
「この事知ってんのあなたしか居ないんだから少しは話聞いて下さいよ!お願いします相談に乗って下さい!」
「うるせーな相談に乗れるほど俺は立派な人生送ってねーんだよ服引っ張んなおい」
「じゃ、じゃあ連絡先!」
「は?」
「お茶のお詫びもあるし、連絡先教えて下さい!」
「…」
正直、面倒臭い奴と関わった事に後悔していた。
俺の嫌いなタイプだ、自分の人気を自覚してる感じのタイプだこいつ。
だがお茶の恨みは確かにある。
「…仕方無いな…教えるから離せ」
「ありがとうございます!あ、えっとお名前聞いていいですか?」
「名前聞かないでどうやって連絡すんだよ……高畑」
「あ、ちょっと待って下さい登録しちゃいます」
「…お前ゆとりって言われないか?」
「あーよく言われるかもしれないです…“高畑”…かな…下の名前は何ですか?」
「………優吾…優しいに漢字の五と口」
「えーと…“優、吾”…丁寧に教えてくれてありがとうございます優吾さん!」
「…高畑さんで呼べよ、年下だろ?」
「23です」
「…1歳でも年下は年下だろ」
「高畑さんは24なんですか?老けてるって言われません?」
「お前ゆとりじゃなくてただの失礼な奴だな」
「よく言われるかもしれません」
目の前のモデルに流され、気を許し、気付けば連絡先を教えていた。
服もいつの間にか乾き、外もいつの間にかもう暗くなりそうになっていた。
ああ、今日は疲れた…。
ただお茶を買いに来ただけの筈だったのに…。
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