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「俺は寿が好きだ。だけどわかっている。寿が決して俺のことを好きにならないことをちゃんとわかっている…」
皇子が苦しそうに、でも無理矢理作ろうとしている笑顔で寿に言う。
「え…?」
それはどういう意味だろう…?
ちゃんと考えようとするのに、なぜが胸がギュっと締められたように痛くて、その痛みが強烈で何も考えられない…。
「俺は寿を愛してくれた人との思い出の場所から切り離して、寿を傷付けた…。…だから寿が俺を好きになってくれるとは思っていない…」
皇子は苦しそうな表情だが、口調は淡々としたものだった。
その言葉に寿の胸が、もう一度強くギュッと締め付けられる。
寿は自分でも知らない間に下唇を噛み締めていた。
そしてものすごく苛立ちを覚える。
この苛立ちは皇子に対してなのか自分に対してなのか、寿自身もわからない…。
「それでも俺は寿に愛を紡いでいく。だが寿には見返りは求めない。それが俺の犯した罰だからな」
皇子がどこか儚げに微笑む。それが余計に寿の胸を痛む。
(罰ってなんだよ…)
「カーテンのことは悪かった」
皇子がベッドから降りて頭を下げる。
「皇子……」
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