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結婚式
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6月28日。5日ぶりの快晴。
恵みの雨を通り越して各地で被害が出るほどの大雨から一転、夏らしい晴れ渡った空。
「…ほんっと、晴れ男だよな」
披露宴では2人の結婚を天が祝福しているとかなんとか、スピーチをしたおっさんが言ってたけど。
そうなのだとしたら、俺は天に見放されてるんだろうか。
6月28日。5日ぶりの快晴。
ずっとずっと好きだった近所の兄ちゃんが、結婚した。
大学時代から付き合っていたらしい。
真っ白なウェディングドレスのよく似合う、綺麗な女の人だった。
どうしてもジューンブライドがやりたいという彼女の希望で行われたこの式は、前日まで参列者をヒヤヒヤさせたのも知らずに、太陽の光で輝いていた。
6月28日。5日ぶりの快晴。
俺の部屋に吊るされている逆さのてるてる坊主は、意味がなかったらしい。
今まで大事な日は全て晴れだったという兄ちゃんの晴れ男ぶりには負けたらしい。
6月28日。5日ぶりの快晴。
紫陽花が、美しく咲き誇っている。
まるで、お前には無理だよと、俺を嘲笑っているかのように。
6月28日。5日ぶりの快晴。
家に戻り、綺麗な新郎新婦だったと興奮している母を尻目に部屋に戻る。
意味のなかった逆さ吊りのてるてる坊主を引きちぎった。
「っ、う…っぁぁぁぁぁぁあああああああ---っ、」
6月28日。5日ぶりの快晴。
数年ぶりに、声をあげて泣いた。
6月28日。5日ぶりの快晴。
俺は今日、失恋した。
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