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自然
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「あいつらは特技を使って、お客様の心理を読んでいるがあいつらは元から接客に向いているんだ。特技がなくてもそこそこの売り上げは行くぞ。あの気障な台詞の自然と出ているからな」
(自然と気障な台詞が出るのか…)
売り場を見ている限り、お客様で三人の特技に気づいている様子はない。
というかお客様は特技どうこうではなく、三人の性格などその人自身目当てで来ているのかわかる。
「翠さんは、皆さんのことをちゃんと見ているんですね…」
誰かがちゃんと自分を見てくれている。
それはどれだけ幸せなことだろう。
琴音はそれを失ったからこそよくわかる。
スィエロの全員がちゃんと想い合っている。
それを見ているだけで心が温かくなる。
もう自分を見てくれる人はいないけど、スィエロの全員を見ているだけで自分を幸せな気分にさせてくれる。
「…ちゃんとここにいるぞ、お前を見ている奴が」
「…え?」
翠がニコっと笑う。
その瞬間、急に瞳から涙が零れ落ちそうになって琴音は慌てて下を向く。
(な…、なんでだ…?)
自分でもなんで涙が零れそうなったのかよくわからない。
でもこれは悲しいからじゃない。
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